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2018.09.18
内部留保が最高に
不平等を許さない社会へ
  企業の内部留保が最高を更新し、逆に労働分配率が下がった。これは第二次安倍政権発足以来、「アベノミクス」で国民のためかのように装い、「世界で一番企業が活動しやすい国」作りを図ってきた結果だ。この流れをどう止めるか。

景気が上向いても
 財務省発表の17年度法人企業統計によると、金融・保険業を除く企業の内部留保が446兆円と最高となった。逆に労働分配率は最低の66・2%。これは12年末に発足した安倍政権での一貫した流れだ。「景気が上向けば、いずれみんなが豊かになる」とは、幻想だった。大企業や富裕層の利益は、多数の貧困と不安定の増大とセットなのは明白だ。

 財界と安倍政権は労組と左派政党を後退させ、搾取・収奪強化の仕組みを法制化し続けてきた。今回もひと月の時間外残業時間上限を、過労死基準を上回る100時間未満に設定し、それすら高度プロフェッショナル制度は縛られない。

 政権は、秋の臨時国会で積残しの裁量労働制の拡大と、解雇の金銭解決制度の導入を狙っている。

消費税のカラクリ
 来年10月の消費税増税も貧困増大と社会保障の劣化を招き、中小零細企業にダメージを与える。

 消費税は法人税減税と、富裕層にうま味の多い所得税や相続税の減税の肩代わりとなってきた。歴代政権は課税すべき税財源を放棄し、財政逼迫を政治利用し、社会保障の後退を制度の存続やツケを将来世代に回さないと言いつのり、国民を洗脳してきた。

 取引で力の弱い企業では消費税は内税化され、税率が上がっても納入・販売単価は上がらない。その上、輸出企業には事実上負担していない消費税を、輸出の際に還付される巨額の戻し税がある。

所得主導の経済に
 私たちは自己責任と弱肉強食路線を暴走する経済から、社会的な連帯・共生を強める経済に転換させる。経済の主眼を人間らしく働き、生活することに置く。最低賃金を大幅アップさせ、下がり続ける可処分所得を上げる。均等なチャンスを作るため、高等教育の無償化を進め学生生活を支援する。

 また、中小零細企業が再生産できる仕組みを作る。膨大な内部留保がこれらを可能にする。経済活動で得られた富を独占させるのではなく、再分配させる。

 最低賃金を全国一律に変えて大幅に引き上げれば、大都市と地方の過密過疎解決の端緒を開く。地方には豊かな自然があるが、所得を得る場所が少ない。それを解決すればバランスの取れた生活を生み、災害にも強い社会をつくれる。

 それは国内だけではなく、グローバルに低賃金・無権利の労働者を搾取し、使い捨てる経済にノーを突き付ける。働く者、生きる者には権利がある。権利を学ぶことによって、人として声を上げられる。ひとりで見る夢は夢、共に見る夢は現実となる。