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2018.10.02
安倍氏が総裁三選
立憲野党の責任は重大だ
  自民党総裁選は、安倍晋三氏が派閥の大半を抑え、地方票の多くも得て、三選を果たした。最悪の2人の候補者で大した違いはなく、しかもすれ違いの「論戦」だった。この国の未来は、アベ三選で暗い。立憲野党の責任は重く大きい。

一強にひれ伏して
 「モリ・カケ」で次から次に疑惑が噴出したにもかかわらず、ウソをウソで塗り込める安倍首相とその政権の腐敗のひどさに、三選はあるべきでないと多くの人は思ったはずだ。

 今では「何でもあり」の自民党だが、政権党としての自民党には戦後のある時期までは奥深い悪知恵が働いて、目先を変えた候補者・総裁を送り出し、生き延びてきた。しかし、今回は最悪の候補者2人だけの対決の結果、ズルズルと三選の流れができ、安倍大勝となった。

 一強多弱の中の安倍一強で、モノ申さぬ空気が醸成され、さらに官邸の締め付けが末端まで行き届いた結果、保身と諦めが自民党内に蔓延したことが今回の結果だ。そうした空気が国民の中にも、重く垂れこめているのも事実だろう。

蔓延する「忖度」
 その原因は何か。

 まず、衆議院選挙が小選挙区制になって総理・総裁が国政選挙の公認権を握るだけでなく、官僚人事を内閣人事局が牛耳って「忖度」が支配し、モノ言えぬ官僚機構になってしまったことがある。「忖度」は政権からの独立性が厳しく求められる検察機構にも影を落とし、三権分立の原則からあってはならない裁判の独立性すら侵される事態になっている。辺野古の埋立てを巡る一連の判決は、安倍政権への忖度以外の何物でもない。

 一方に、「安倍さんのように知性も教養も、法律も常識も理解できない人物に、政治家や官僚が唯々諾々と動かされていることが理解できない」という辛辣な批判もある。戦後最悪とも言える政治の劣化に対する嘆きは、深刻なのである。

安倍支持はなぜ?
 政官財の翼賛的構図があるとは言え、安倍内閣への支持率はその都度回復基調となり、底を打たない。民主主義の根幹を否定する国会・政権運営を強行しながら不思議な現象と言わざるを得ない。日本会議などに象徴される、昭和末期から平成にかけての右派的ムードが安倍政権を支えていることは間違いないだろう。

“偉そう”な左翼
 朝日新聞の論説(9月8日)によると若者世代の願いは総じて「現状維持、安定」という。現状維持志向は、「若者が日本社会に見捨てられる様子(失われた20年)を見ているから」と言う。

 日本社会はこの20年、多くの若者を非正規に追いやり、未来を描けない状態に置いた。「左翼とか革新の人たちは偉そうに感じる」「安倍さんは利口そうに見えないから親近感がわく」という若者の声に接した。これが安倍三選の隠れた真実なら、深い分析と深刻な反省が必要だ。