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2018.10.16
第四次安倍改造内閣
野党は体制の立て直し急げ
 
 3回目の南北首脳会談による米朝首脳の再会談への動き、日米首脳会談でFTA交渉を強いられ、沖縄知事選で惨敗など、強い逆風≠フ中で第四次安倍改造内閣が発足した。だが、首相は改憲の意思が露骨だ。問題は野党の劣勢にある。

逆風の中での改造 
 自民党総裁選での「予想」以上の石破茂氏の票、トランプ大統領の恫喝で日米FTA交渉の開始、米・朝・韓会談による朝鮮戦争終結宣言の可能性で「北の脅威論」の効き目の喪失、そして、沖縄知事選での惨敗だ。

 それでも、安倍晋三首相は9条改憲に突き進む。安倍政権は、21年9月には終わる。求心力を改憲まで保つために、無責任な財政赤字加速のバラマキなど、何でもありだ。

 そして、内閣と自民党の新人事は改憲シフトだ。党の最高意思決定機関である総務会長に加藤勝信氏、憲法改正推進本部には下村博文氏、国政選挙と国民投票を仕切る選対委員長には甘利明氏と、安倍氏は腹心と盟友で党人事を固めた。

 公明党は、自民党より悪いと言われるくらいの悪事を繰り返してきた。創価学会の不満はうっ積しているが、党は国政選挙・連立での自民党との運命共同体を選択するだろう。

 改憲は支配階級の最大の課題であり、無謀な国民投票へと暴走すればブレーキがかかる。今春、内閣支持率急落で読売新聞は拙速な発議に反対し、自民党大会は安倍9条改憲案を承認しなかった。

 しかし、退陣直近と見なされた当時とは様変わりだ。安倍首相は、改憲勢力を動員、メディアを利用して過半数すれすれでも改憲、集団的自衛権行使を全面的に可能にして9条2項の抹殺を目論む。

問題は野党の対案 
 沖縄知事選の勝利は、立憲野党が辺野古新基地建設反対で一致したからだ。しかし、参院選に向けては、関心の高い税と社会保障の課題について安倍政権への明快な対抗軸を示せていない。「安倍政権下の改憲に反対」だけでは、勝てない。

 安倍首相は、改憲のためには消費税増税をあまり口にしない。増税しても対策として住宅・自動車購入への補助金や減税を含む巨額のバラマキ予算を組む。

 一方、財界やメディアは、「財政健全化」と社会保障改革のために「10%の先」の増税も迫る。野党はこの「争点」の蚊帳の外のようにみられている。「安倍政権の増税には反対、財政健全化も大事」では対案とは言えない。

 立憲民主党の枝野幸男代表は10月5日の講演で、「消費税上げず、法人増税を検討する。私たちは緊縮ではない」と述べた。歓迎だ。

 「累進課税の強化で社会保障財源を拡充し、消費税を5%に戻せ」という、明確な対案が野党には求められる。民主党政権での増税トラウマも残る野党には簡単ではないだろう。まずは、消費税増税に反対してきた政治勢力が一体となって参院選に挑みたい。