新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 道しるべ
  4. 2018.11.20
安倍政権の軍備増強
9条を事実上無きものに
 安倍晋三首相の9条改憲への執着は、自衛隊のありように大きな影を落としている。解釈改憲による「専守防衛」で生まれた自衛隊は、今や世界有数の軍隊であり、9条を事実上無きものにしている。背景には「敵の脅威」の演出がある。

 自衛隊は、旧ソ連(現ロシア)、朝鮮、中国を仮想敵国に膨張してきた。外交・安全保障政策はこれらの国々と絶えず緊張関係を作り出し、自衛隊の装備を高度化し、それに伴い軍事費は膨れ上がってきた。防衛予算は「聖域」とされ、一方で社会保障費など民生に不可欠な予算は削減されてきた。

宇宙空間まで拡大
 防衛省は2019年度の防衛費を5兆2986億円として概算要求した。これは在日米軍駐留費経費の負担分(思いやり予算)1968億円は含まない。

 19年度は、前年度比2・1%の伸びであり、過去5年間の毎年0・8%の増額に比べると大幅だ。それは、「厳しい安全保障環境のなか―中略―防衛力を大幅に強化」(防衛省)のために「真正面から向き合った」兵器が必要とし、これまでにない装備の購入を計上したからだ。

 イージス・アショアや長距離巡航ミサイル、F35A戦闘機、領域横断的な宇宙空間への展開装備など、自衛隊は今やアジア諸国はもとより、宇宙空間まで戦域を拡大している。

 巨額の軍事費には、米国からのFMS(対外有償軍事援助)と呼ばれる高額兵器の購入費全額は含まれない。これは最長5年の後年度分割払いであり、その総額は19年度では5兆3000億円と、単年度を上回る。

 そして、「防衛計画大綱」の見直しが始まった。

正真正銘の軍隊へ
 この間、軍事費が急増してきた背景には朝鮮や中国を仮想敵として「脅威」を煽り、そのための軍事演習、国民を巻き込んだ「避難防空訓練」、マスコミの垂れ流し報道などで、社会意識がコントロールされたことが大きな要因としてある。

 その結果、安全保障関連法(戦争法)の制定を強行し、「自衛権」を拡大解釈する中で自衛隊は米軍をはじめ関係諸国との共同軍事行動が事実上可能となった。また、「共謀罪」などの治安関係法制も強行し、後は軍事裁判所の設置などで自衛隊を正真正銘の軍隊にする法整備があるだけになっている。

 戦争は「自衛」を名目に始まるのが古今東西、歴史の真実である。アジア・太平洋戦争はじめベトナム戦争やイラク戦争などは、侵略国による自作自演によって始まった。国益、意思、能力がない国が戦争を仕掛けることはない。この間、煽られてきた「朝鮮の脅威」はまさに日本の自作自演と言うべきものである。

 「中国、朝鮮の脅威」の宣伝と演出は、憲法の平和主義を根底から破壊し、自衛隊が世界で闘うためのプロパガンダであることを改めて認識し、安倍改憲と闘わなければならない。