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  4. 2018.11.27
外国人労働者受入れ
技能実習制度の総括こそ!!
 外国人労働者の受け入れを拡大する入菅難民法改定案の審議が衆院で始まっている。政府・与党は12月10日の会期末までに成立させ、来年4月の制度導入を目指すとするが、対象業種や受入規模も示さず、権利保障も曖昧なままだ。

 単純労働を目的とした入国を原則認めてこなかった日本だが、法案は人手不足に対処するため新たな在留資格を設け、幅広い業種で外国人を受け入れる内容で、従来政策からの大転換を狙っている。

 しかし、当初、農業、介護、建設、宿泊、造船の5業種について新たな在留資格を設ける方針だったが、現在14業種を対象に受入れを検討中といわれるように、重要事項が曖昧なままで、詳細は政省令に先送りされる危険がある。

実習生の人権侵害
 外国人の就労については、在留資格などによって厳しく制限・管理されているが、17年10月末現在、外国人労働者数は127万8670人で、前年同期比19万4901人増で過去最高だ。在留資格別でみると45・9万人が日系人、留学生のアルバイト等が29・7万人、技能実習生が25・8万人、専門的・技術者は23・8万人、特定活動2・6万人である。

 とりわけ技能実習制度は、諸外国から「強制労働」「人身売買」「奴隷制度」などと厳しく批判を受け続けている。事実、労基法違反が認められた実習実施者は、5966事業場のうち4226(70・8%)に上る(厚労省17年調査)。失踪も昨年7000人、今年4000人である。

 技能実習制度は、開発途上地域への技能移転を図り、経済発展を担う「人づくり」に協力する国際貢献とされてきたが、低賃金・長時間労働、パスポートを取り上げての自由の拘束など人権侵害が常態化していることは周知の事実だ。

孤立する日本の姿
 日本政府は、「徴用工問題」で激しく韓国の対応を批判しているが、その韓国は04年、単純労働を認める雇用許可制を導入した。以前は日本の技能実習制度を参考に「産業研修制度」を導入してきたが、不法滞在や賃金の未払いが相次ぎ、許可制を導入した。

 外国人労働者は韓国政府が運営する就労支援センターに登録、政府が各企業に割り当てる。悪質な企業は排除され、法外な手数料を取る「ブローカー」が暗躍する余地もない。ベトナムやフィリピンなど計16 カ国と国同士の協定を結んでいる。

 韓国の担当者が「国際的な人材獲得競争が激化しても、外国人は日本ではなく、韓国に集まる」と言ったとの報道もあったが、人を労働力として使い捨てにする国は、尊敬もされないだけでなく、人も集まらないだろう。

 外国人労働者を使い捨てる国は、自国の労働者も使い捨てる。日本の労働者運動が問われていることを知るべきだ。