新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 道しるべ
  4. 2018.12.18
臨時国会が閉会
審議生煮えで強行採決を乱発
 
 第197臨時国会は社会構造や暮らしに直結する入管法や水道法、漁業法など重要法案の改定を強行して閉幕した。とくに入管法は重要部分を政省令に委ね、まともな答弁すらできなかった。まさに民主主義の危機と言わざるを得ない。

ずさん法を拙速に
 安倍内閣が財界の要請を受け最重要法案と位置づけた入管法改定案審議では、失踪外国人技能実習生の「聴取票」全2870人分が「最低賃金以下22人」としていた政府集計が、実は1927人(67%)であったことが野党の追及で明らかになった。

 問題なっているブラック監理団体・業者の指導監督する国の委託機関は、これまでこの不正を見抜いたことは1件もなかったことが明らかになった。ずさんな法案が、拙速な審議で強行されたのだ。 

自民の県議も反対
 水道法改定案は先の通常国会の閉会に先立って衆院本会議で可決されたもので、国会運営を巡る混乱もあり、衆院審議はわずか9時間、法案の問題点が国民に周知される暇もない強行可決だった。

 臨時国会で参院での審議が注目されたが、民営化に失敗し、再公営化が進む諸外国の実例の検証もなく、地方自治体や国民の不安を一顧だにしなかった。

 福井県議会は「水道法改正案の慎重審議を求める意見書」、新潟県議会は「水道民営化を推し進める水道法改正案に反対する意見書」を提出した。「水道事業は民営化になじまず、水道法改正案はすべての人が安全、低廉で安定的に水を使用し、衛生的な生活を営む権利を破壊しかねない」と主張する。

 福井、新潟とも意見書に自民党議員が賛成している。現政権に反旗を翻す勇気ある行動と言えるが、それだけ水道法改定で導入されようとしている「コンセッション方式」には危険な部分が多いということだろう。 

漁協が解体される
 漁業法は、「70 年ぶりの改正」といわれ、沿岸漁民の生活や地域社会に直結、これまでの漁業制度を大きく変える危険性を持つ。沿岸漁民や各漁協に十分な説明も、意見を聞くこともなく強行した。

 現行法は、地元漁民が全員加入する漁協の一括した受け手として、組合員の合議で運営されてきた。企業が参入する場合は漁協の組合員になる必要があった。しかし、企業に漁協を通さずに免許を与え、地元の漁協や漁業者を優先する規定を廃止する。養殖業に企業などの新規参入を促す狙いだ。

 同時に乱獲防止のため漁獲可能性量制度を拡大し、船ごとに漁獲枠を管理する制度に移行する。これによって船の譲渡に伴い漁獲枠が移転する。漁業者の間には、資金力のある企業などに漁獲枠が集約され、寡占化するとの懸念がある。

 安倍首相と自民党は、「改憲4項目」の憲法審への提示も策動した。市民と立憲野党の闘いで断念させたが、危険な安倍の退陣しかない。