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2019.02.19
19春闘スタート
労働者の命綱・共闘を取戻せ
  
 19春闘が本格化した。これまで何度も「春闘終焉」が言われたが、19年は名実ともに「終焉」と言われる。事態は深刻だが、労働者は春闘を必要とし、闘いの歴史と経験・教訓がある。19年を労働者が「共闘を取り戻す年」にしよう。

要求も妥結額も隠す
 経団連の「労使フォーラム」が1月28日開幕し、19春闘がスタートした。 安倍晋三首相は経済界に5年連続で賃上げを求め官製春闘を演出したが、今年は要請したものの、米中貿易戦争など企業収益を忖度してか「声」を小さくした。経団連は「政府に要請されて行うものではない」と介入に不快感を隠さない。

 連合は、ベア2%と定昇2%を合わせ4%程度の賃上げを要求、大企業と中小企業格差是正に焦点を置くとする。

 しかし、今春闘の焦点はトヨタなど自動車関係の労組の動きだ。これまで「相場形成の役割」を担ってきた自動車総連(78万人)がベアの統一要求を示さないとした。狙いは賃金格差の是正にあるという。例えば、率だと賃金ベースが高い大企業とベースが低い中小とでは益々格差が拡大とする。確かな格差縮小につなげる「絶対額」重視の要求は、額面通りなら評価できる。

連合も終焉するのか
 しかし、誰もが欺瞞と感じるように個別要求の額も、結果も公表しないとし、連合もそれを容認するとなると、「春闘ではない」。これでは名実ともに春闘の終焉だ。それだけではなく、ナショナルセンター・連合の終焉とも言えるだろう。

 春闘は、1955年に「8単産共闘」から本格化したように産別労組の共闘。横断的な組合である職業別組合が多い諸外国と違い、企業との雇用関係がなければ存在しない企業別労働組合の弱点の克服のために生み出された、日本独特の闘争戦術である。

 大企業労組・企業連が要求金額も妥結金額も公表しないなら、共闘など存在しないことになる。労働者が団結し、共に闘うために存在する「ナショナルセンター」は理論的にも、実態としても消滅する。では、日本の労働者は「ナショナルセンター」を必要としていないのか。

「8時間」で暮らせる
 日本の非正規労働者は全労働者人口の約4割に達し、2000万人が最低賃金線上に張り付くワーキング・プアといわれる。地方自治体・市区町村段階でも3人に1人は非正規労働者であり、賃金格差は民間より自治体の方が大きい。 それだけでなく、日本の組織労働者は17%に過ぎず、多くの労働者はまともに生活できないだけでなく、「闘う術」も失っているのだ。

 ワーキング・プアを脱するには、最低賃金、同一労働同一賃金原則、過労死・メンタルを防止する「8時間労働制原則」など、共通課題の実現こそ待ったなしだ。19年は、「共闘を取戻す」ための決意と準備の年にしなければならない。

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