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2019.03.26
『移民政策』スタート
労働力ではなく人間として
 昨年末、入国管理法が与党などの強行採決で改定され、4月から新在留資格「特定技能」で新たな外国人労働者の受入れが始まる。政府は「移民ではない」とするが、移民政策だ。歴史的転換である以上、国民的議論・合意が必要だ。

「移民元年」の課題 
 4 月1 日からの「特定技能」による外国人労働者の受入れは、政府によると今後5年間に14業種で34万5000人の受入れとなる。

 2017年10月現在、日本で働く外国人労働者数は128万人という。これは労働保険加入者数で、実際は150万人を超えているといわれている。

 内訳は、労働者として在留資格(専門的・技術的)者は19%、技能実習が21%、資格外活動(留学生等)23%、身分に基づく在留資格(永住者、配偶者、日系人など)36%である。

 留学生は30万人以上いるが、その83%が働いている。留学生が働くことを規制している国がほとんどだが、日本の場合は働くために留学してくるのだ。

労働力だけの歪み
 働くために日本にきている労働者(専門的・技術的)は19%であり、それ以外は「偽装労働者」である。偽装させたのは、移民を受け入れたくないが、労働力は受け入れたい日本社会である。

 これまで、非熟練労働の分野での外国人の就労は認められず、人手不足が続く結果、技能実習生と「出稼ぎ留学生」が激増した。いびつな形で実質的な外国人労働者が増大したのだ。その結果、悪質なブローカーが暗躍するとともに、不法労働の増加という結果を招いてきた。

 07年、米国務省の人身売買年次報告書は「日本の技能実習制度は人身売買制度」と指摘した。

 実質的に外国人労働者を受け入れる役割を担ってきた「技能実習制度」は、最低賃金すら支払われず、残業手当や休日労働の未払い、死者・自殺者を出すほど過酷な労働・住環境など、悪質なケースが国会審議で明らかになったことは記憶に新しい。4月実施の特定技能制度は、その技能実習制度が土台だ。

共生社会のために
 日本はかつて、人口増のために多くの移民を海外に送り出した。国際連盟規約に「全ての国家の国民に対し、その人種及び国籍の如何により、法律上または事実上、何らの区別を設けることなく、一切の点において均等公平の待遇を与うべきこと」と要求した。

 かつて移民の送り出し国であった日本が、いびつな外国人労働者政策をとってきた。そして今、人口減少の中で労働力確保のための「移民政策でない、外国人労働者受入れ拡大」(政府)である。

 新制度による外国人労働者の受入れが始まれば、これまで以上に多くの外国人が働くことになる。「労働力ではなく、人間として受け入れる」ことが基本になければならない。共生社会に向け、国民的議論が必要だ。

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