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  4. 2019.04.02
春闘前半の低額回答
原点の統一闘争の再確認を
 19年春闘は、3月13日に大手の回答が集中したが、昨年を下回る低額回答が並んだ。統一要求を見送った自動車は、トヨタが昨年に続きベアを公表しなかった。3000円要求の電機は、昨年から500円減の1000円にとどまった。

昨年下回る回答
 大手企業の回答は6年連続のベースアップとなったものの、大手製造業では前年を下回る低額回答が並んだ。

 人手不足が深刻な外食産業や流通業界では、前年を上回る回答が出て、連合の第一回集計の結果によると「2・16%と前年同期と変わらない」という。

 連合は、「今後交渉が本格化する中小企業の賃金底上げのため、ここからが肝心だ」(15日、神津里季生会長)とするが、「相場形成役」とされてきたトヨタ労連が、ベアや定昇、手当などの内訳を昨年に続き公表しなかったことを容認した。

「働き方改革法」
 安倍政権は「一億総活躍社会」を掲げ、財界の要請にそって昨年の通常国会で働き方改革関連法を成立させた。働き方改革は、少子高齢化社会、労働力人口の減少時代の労働力対策であり、また、「ソサエティー5・0」時代の働き方を想定し、生産性向上、労働参加率向上を意図したものである。

 この体制は、日本的「同一労働同一賃金」によって企業規模別・雇用形態による賃金格差を容認することを確立し、職務・能力の基準、人事評価制度を作る努力を義務付けることによって新たな企業秩序の枠に取り込むことが目的だ。

 グローバル競争に生き残るために、「生産性向上」を煽り、生産性を上げられないものは切り捨てられても当然ということである。

 「働き方改革」の加速を促す顕著な論調が『日経新聞』3月14日付社説「賃上げ低迷の根にあるものを断て」にある。「成果を上げる人には厚く報いることで企業の生産性を高める必要がある」と能力や成果に応じた賃金決定の仕組みが不可欠と主張する。

 一律・横並びは時代の変化に合わず、成長力強化のために結果で評価する報酬制度の促進と柔軟な労働市場が必要だという認識だ。そして、その具体化のために裁量制の対象拡大とともに金銭補償による解雇規制の緩和の促進を提唱する。これが総資本の狙いと同根であることは言うまでもない。

 19年春闘は、総資本が求める働き方改革体制確立と時を同じくする。

原点を取り戻せ
 今後、中小企業での回答引き出しが続くが、賃上げが社会的に求められていることを踏まえなければならない。同時に、春闘の原点である統一闘争を取り戻さなければならない。

 連合であれ、他の労働組合であれ、働く仲間の要求に基づいて大衆的な闘争を築きあげていくことによって、階級的労働運動の再生を勝ち取っていくしかない。地域での労働者の連帯を強めよう。

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