新社会党
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  4. 2019.05.14
統一選総括の視点
低投票率は“政治疎外”の現れ
 統一自治体選挙は日本社会の問題を浮き彫りにした。一つは東京一極集中、二つ目は貧困とそれに対するいら立ち、さらにそれに対する処方箋を革新側が提示しきれないことだ。その結果、投票率は低下し、驕おごりの政権を存続させた。

一極集中の明暗
 東京都区部で大きな争点になったのは、膨大な貯め込みだ。豊かな税収を区民生活の向上に使わないために、一般会計などの基金が巨額に上っている。

 反面、大阪維新の会の強さが際立った大阪ではすべての選挙で大阪維新が圧勝した。そこでの関心事は、取り残される大阪経済の浮揚だ。

 かつて隆盛を誇った商都大阪は地盤沈下が著しい。生活保護率は大阪府が都道府県で第一位の3・31%。最下位の富山県の10倍だ。大阪市はもっと悪く5・34%である。失業率、非正規労働者比率も全国ワーストクラスである。このいら立ちを大阪維新が公務員攻撃と都構想による「成長期待」でつかんだと言える。

 全国唯一の与野党対決の知事選だった北海道も、生活保護や失業率は全国ワーストクラス。低迷する経済への期待を、夕張市「再生」で実行力を見せた若い候補者に寄せたのか。 

主権者が変える
 一極集中している東京都区部でも光が射しているわけではないが、取り残された地域はもっと悲惨だ。これらは財界の要求を実現しようとする政治が作り出したもので、もはや国の一体化が損なわれているといえる。

 しかし、主権者は今回も投票率の史上最低を塗り替える不名誉を招いた。英雄を待望する社会は不幸だが、それでも政治は誰かが行うものとの考えが根強い。安倍政権支持も、他に代わるものがいないからという消極的支持である。主権者自ら行動して政治を変えるという姿勢は未熟なのである。

野党への共感は
 それは、悪政を転換しようとする側の罪でもある。非正規労働と雇用不安、貧困と社会保障の劣化は自身のものになっているだろうか。自分は別世界にいて対策を打つという姿勢では、現にあえぎ苦しんでいる労働者・市民の共感を得ることはできない。

 本来自治体こそ市民に最も近い政治の場であるが、自治体選ほど低投票率である。国政に関心があっても、自治体行政や議会には関心が薄い。とりわけ議会の発信力はほとんどないに等しい。

 これを変えなくてはならないが、保育料も介護保険料、国民健康保険料、福祉をはじめとした各種市民サービスも自治体が決める。 

新社会党の作風
 新社会党は的確に問題をつかみ、具体的な政策を打ち出すことができたであろうか。そうするためには日常的に市民と共に運動を起こし、共に行動する作風が必要だ。確かに今回の自治体選で踏ん張り、踏み止まることができたが、次回もというわけにはいかないのではないか。

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