自民党の参院選公約「日本の明日を切り拓く」はウソばかりだ。今回の政策パンフは17年総選挙のときと瓜二つ。違うのは、天皇の代替わり利用、新元号「令和」あやかり戦術だ。ウソと虚構を暴き、自民党・改憲議席を減らそう。
「令和元年政策パンフレット」と銘打った内容は、@力強い外交・防衛で、国益を守るA強い経済で、所得をふやすB誰もが安心、活躍できる人生100年社会をつくるC最先端をいく元気な地方をつくるD災害から命・暮らしを守るE憲法改正を目指す、の6本柱。
我田引水ばかり
外交は、「日米同盟をより一層強固に」と冒頭に掲げ、トランプ米国への一辺倒を隠さないが、日朝対話やロシアとの領土問題の解決は全く見通しが立たない。
経済では、「アベノミクス6年の実績」として、「若者の就職内定率:過去最高水準」「中小企業の倒産:28年ぶりの低水準」「正社員有効求人倍率:史上初の1倍超え」「家計の可処分所得:4年連続増加」など。
若者の就職内定率や正社員有効求人倍率は、アベノミクスとは関係なく、定年世代が年約150万人なのに対し、就職する世代は年約120万人と、労働力不足が要因である。
中小企業の倒産減少も、休廃業・解散が約4万7千件もあるためだ。家計の可処分所得も、労働者の実質賃金が日本だけ下落しているのは、派遣など非正規雇用の急速な拡大、「労働市場流動化政策」の結果だ。イノベーションや新たなフロンティアを掲げるが、労働者の賃金を増やすとは言わない。
社会保障では、「人生100年時代の安心社会」で、「年金をはじめ人生100年時代に相応しい、社会保障制度を構築」と語るが、先の金融庁審議会報告の「老後資金2000万円必要」で政府・自民党の「100年安心」は破綻。
「子供の未来・安全に、大胆に投資」と「高齢者の皆さんが安心して暮らせる社会保障」は、消費税を10%に引き上げた上での施策のみで、社会保障の充実には程遠い。
地方施策でも、農林水産業を守るというが、日米貿易交渉の結果をトランプ氏に参院選後に公表を遅らせてもらっており、何が出てくるか分からない。漁業は、昨年漁業法を改定し沿岸漁業にも大企業の参入を認めた。
災害対策では、原発事故被災者を住宅から追い出し、切り捨てている。原発再稼働を容認し、再生エネルギーの拡大にも背を向ける。
不都合は語らず
都合の悪い事は一切語らず、データに基づかない「成果」を振りかざす噴飯もの。ただ改憲は、9条に自衛隊明記など4項目を明示した。
自民党が何を言っているかだけでなく、何を行ってきたかを有権者に伝え、とりわけ投票を棄権してきたと考えられる、貧困や格差で苦しむ人たちに全力で働きかけよう。