ヒロシマ・ナガサキの被爆から今年で74年、フクシマの原発事故からは8年半が経った。改めて人類史上稀にみる大きな犠牲によって歴史的な「教訓」を得た日本が、核問題について世界で果たすべき役割は大きいものがあるのだが。
核廃絶に進む世界
世界は核による他国への威嚇禁止・核兵器廃絶の流れが強まりつつある。また、原発依存のエネルギー政策の転換にも向かっている。
被爆国日本はこの流れを後押しする責務がある。そのためには外交・安全保障政策を抜本的に転換し、そのメッセージを全世界に発信することが必要だ。
しかし、安倍政権はその責務と役割を放棄し続けている。米国の核に依存し、軍事力強化、原発再稼働核エネルギー政策を強行する。
現在、核問題の国際的な課題は主に3点ある。朝鮮半島の非核化、国連の核兵器禁止条約の発効、イラン核合意を巡る平和的な解決だ。
朝鮮半島の核問題
朝鮮半島の非核化は、米朝対話で現実性を帯び始めたが、米が朝鮮に一方的譲歩を要求し出口はまだ見えない。日本の対朝鮮政策は、「核・ミサイル・拉致」の3点セットによる「制裁と圧力」一辺倒だった。
それが、「蚊帳の外」状態から情勢の変化に乗り遅れまいとしてか突然、朝鮮との無条件対話≠ヨと転換した。
だが、安倍政権がすべきことは、2002年9月の「日朝平壌宣言」に立ち返り、在日朝鮮学校への差別政策を止め、日朝関係の正常化に向けた具体的な一歩を踏み出すことだ。
「核兵器禁止条約」
核兵器禁止条約は2017年7月の国連会議で122カ国により採択されたが、日本は反対した。さらに日本は18年、禁止条約を具体化する交渉会議への不参加を表明するなど、「被爆国日本」としてあるまじき対応に終始している。国連での核兵器禁止条約を日本は早急に批准すべきである。
イラン核合意問題
イラン核合意を巡って、国際不安と緊張関係が生まれている。15年に米英仏独中ロの6カ国と欧州連合がイランと核合意を締結した。しかし米国は18年5月、合意から一方的に離脱、その後、石油輸出の制裁や空母打撃群を派遣しイランに制裁と圧力をかけている。
今年6月以降、日本のタンカーの被弾、イギリスやイランは相互にタンカーだ捕など起こしている。一方、イランはウラン濃縮度の制限を超える濃縮に着手。また米国は、イラン海域派遣の「有志連合軍」を募り、日本にもその参加を打診するなど緊張激化を煽っている。
安倍政権のなすべきは、米国がイラン核合意に復帰するための外交努力で、「有志連合」への参加など論外だ。安倍政権は、原爆被爆者、原発被曝・被災者、そして全世界で沸き起こる核兵器廃絶・脱原発の声に真摯に耳を傾けるべきだ。