労働組合・関西生コン支部への建設資本と警察・検察が一体となった弾圧は止まるところを知らない。戦後労使関係史上でも未曾有の理不尽な組合潰し・憲法28条破壊だ。労働運動への共謀罪型弾圧は、労働分野における壊憲である。
戦前の日本の状態
関西生コン支部で起きている事態は、労働運動が禁止されていた戦前の日本、あるいは、労働組合活動の承認を巡る闘いが展開されていた1800年代のイギリスを想起させる。
イギリスでは1824年に団結禁止法廃止、71年の労働組合法制定で労働組合運動の刑事罰からの解放、1906年の労働争議法制定で損害賠償責任からの解放を勝ち取った。
こうした労働運動の成果が、憲法28条に「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動する権利は、これを保障する」と明文化された。ところが、関生支部には労働基本権を無視した弾圧が吹き荒れている。
レイシストを使い
関生支部は17年12月、上昇する生コン価格に比例して輸送会社の運賃も引き上げるという約束の履行を求めてストライキを行った。これに対し、建設資本側は全面対決姿勢を打ち出し、「威力業務妨害・組織犯罪対策本部」を設置、不当労働行為を開始した。
昨年8月に滋賀県警が支部の武建一委員長ら数名を逮捕、大阪府警、京都府警と合せて延べ67 名を逮捕している。さらにレイシストを使い、「関生は組合の名前を借りた暴力集団」と大宣伝するなど、正当なストを刑事犯罪とし、共謀罪適用を想定した権力弾圧を行っている。
組合加入を口実に
今年6月には京都府警が強要と恐喝の疑いで支部役員ら7名を逮捕した。これは非正規労働者が関生支部に加入、社会労働保険加入や残業代支払いを求めて団交を申し入れたら会社が就労を拒絶、4カ月後に会社を閉鎖して事実上解雇したというものだ。
また、この労働者が子どもの保育園に提出する「就労証明書」発行を求めたら、労組加入以前は何の問題もなく出していたのに拒絶。このため、組合役員が何回も会社に抗議したことを「強要未遂」としたのである。
労働組合が企業に法令を守れと働きかけるコンプライアンス活動が「恐喝」、労働争議での説得活動が「威力業務妨害」とされ、その「共謀」を理由として交渉などの現場に参加していない組合幹部らも逮捕されている。
背後に権力の中枢
こうした権力の監視・介入・弾圧は、マンション建設反対の住民運動や風力発電施設を巡る市民活動にも及んでいる。闘う労働組合を潰し、モノ言う市民を弾圧する背景には、権力中枢の関与、国家警察の警備・公安組織の暗躍があると見なければならない。
今は点で起きていることが、やがては線に、そして面へと拡大していく。そうなってからでは遅いのである。