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  4. 2019.09.10
INF全廃条約失効
再び軍拡競争の愚に走るのか
 世界は核兵器を巡り、激しいせめぎ合いの様相となっている。トランプ米大統領の軍事力を背景とした力による「平和」か、国連での「核兵器禁止条約」の50カ国の批准による条約発効か。被爆国日本の曖昧な態度は、もはや許されない。

 INF(中距離核戦力)全廃条約が8月2日、失効した。条約には1987年12月8日、当時のレーガン米大統領とゴルバチョフソ連共産党書記長が調印した。

 射程500`から5500`までの範囲の核弾頭及び通常弾頭を搭載した地上発射型弾道ミサイルと、巡航ミサイルの廃棄を目指したもので、1989年6月1日に発効した。 

核抑止論の再登場
 トランプ政権は今年2月、条約の破棄を一方的にロシアに通告し、ロシアは義務履行の停止を宣言、6カ月後に失効した。米国は失効直後の8月19日、地上発射型中距離巡行ミサイルの発射実験を行ったばかりでなく、NPR(核体制の見直し)による核戦力の開発も進めている。また、台湾にF16戦闘機66機の売却も決定した。

 これに対しロシアは、米国がNATO加盟国やアジアの同盟国にミサイルを配備すれば、対抗処置をとると言明。中国もまた、「中国の玄関先に配備すれば対抗措置を準備する」との声明を出し、台湾へのF16売却は「内政干渉」と強く反発している。
 
 トランプ氏の「米国第一主義」によって、レーガン・ゴルバチョフ合意以来の軍縮の流れは一転、「核抑止力」が頭をもたげている。

 さらに、中東情勢も緊迫の度を高めている。トランプ氏は5月9日、イランとの「2015年核合意」からの離脱を表明。米国を除く合意5カ国(英仏独中ロ) は合意に止まり、米国は離脱とともにイランへの制裁を再開、各国にホルムズ海峡「有志連合」への参加を求めている。

 17年1月のトランプ大統領就任以降、世界の軍事的緊張の激化は顕著だ。 一方、国連では17年7月7日に核兵器の開発・保有・使用などを法的に禁止する核兵器禁止条約が122の国と地域の賛成多数で可決された。そして、8月6日現在70カ国が調印、批准国は25各カ国と広がっている。 

軍事力に走る日本
 こうした情勢の中、日本は国家主義・排外主義的政治と軍事力強化が顕著だ。沖縄・辺野古の新基地建設の強行、山口県、秋田県へのイージス・アショア(地上配備ミサイル迎撃基地)の配備計画、宇宙空間での妨害衛星の開発、18機の短距離離陸・垂直着陸機F35Bの購入と護衛艦2隻の空母化。20年度の防衛省概算予算要求は、過去最大の5兆3千億円超を計上した。

 日本はまた、「核兵器禁止条約」に制定過程から今日まで反対し続けている。平和国家を取り戻すためには、市民と野党の共闘で安倍政治を終わらせることが急務だ。
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