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  4. 2019.09.17
幼児教育・保育無償化
対象限定で看板に偽りあり
 先の参院選で安倍自公政権は過半数を確保し、10月から消費税が8%から10%に引き上げられる。そして、17年総選挙で自民党が公約に掲げた「幼児教育・保育無償化」も実施される。しかし、これが優先すべき施策であるかは疑問だ。

3歳から5歳まで
 10月からの無償化の対象は「幼稚園・保育園に通う3歳から5歳までのすべての子どもと、保育園に通う0歳から2歳の所得の低い世帯の子ども」である。

 幼稚園にも保育園にも通っていない3歳から5歳の子どもは少ない。0歳から2歳児は、保育料が3歳〜5歳児よりも高く、保育園に入れない待機児童も多い。0歳から2歳の子どもへの支援こそ優先されるべきだ。

無償化でも給食費
 国基準で、給食費は主食費月3000円、副食費月4500円になっている。幼稚園では保護者が両方実費を支払う。保育園では3〜5歳児の場合、主食費を保護者が実費、副食費は保育料に含むことになっている。0〜2歳児の場合、主食費・副食費ともに保育料に含まれる。

 認可保育園の場合は、実際の保育料は所得の多寡による応能負担で徴収しており、給食費を分離して徴収してはいない。そのため自治体によって給食費を徴収するところと、今まで通り徴収しない(事務手続きが煩雑になるため)ところが出ている。

 内閣府は5月、年収360万円未満の世帯の副食費の免除を決めたが、そもそも無償化の看板に偽りありである。

待機解消が先決だ
 朝日新聞(8月31日朝刊)は、「今年4月1日時点で認可保育園に入れない待機児童は、過去最少の1万7千人前後になる見通し(過去最少は17年の1万7926人)」と報じた。そもそも保育園に入れない世帯には、今回の無償化は何のメリットもない。

 政府は、18 年6月に「待機児解消のために20年度末までに、32万人分の保育施設を整備する」という目標を掲げているが、待機児解消を最優先すべきだ。

 今回の無償化の対象には認可外保育園も含まれる。認可保育園も大都市部を中心に増えている。認可外保育園では、事故率が高く、そもそも基本的にはあってはならない。また、認可保育園でも新設保育園では公設公営は少なく、公設民営か、民設民営だ。しかも、園庭がない保育園も多くなり公園の取り合いになる事態も生じている。さらに、保育園の増設で保育士不足が深刻化し、民営化の進行で保育士の待遇の悪化が進行している。

子どもに投資こそ
 今回の「幼児教育・保育無償化」は限定され、矛盾に満ちたものである。「子育て支援」を語るのであれば、就学前の子ども全体の無償化、待機児解消、保育士の待遇の抜本的改善、児童手当の増額など総合的な施策を大胆に検討すべきだ。将来を支えるのは子どもたちなのだから。
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