日韓関係と韓国の文在寅政権は重要な局面にある。10月24日の日韓首相会談で手交された文大統領の親書への対応と、 韓国の「検察改革」の帰すうだ。日本が両国の協議を真摯に検討するのか、検察改革が実現するのか注目される。
チョ・クグ前法相への検察と韓国保守勢力の攻撃は猛烈だ。日本の右派メディアは連日「玉ねぎ 男」と文政権「危 機」を煽り、韓国では、パク・クネ前大統領支援者と野党と極右団体など右派総結集で数十万人が集
会。一方、チョ氏と文政権支持の市民も 数十万人集まった。
前者が高齢で組織動員なのに対し、後者は若い市民の行動だった。チョ氏は10月14 日に法相を辞任したが、辞任後も数十万人のロウソク集会に示されるように、国民の多数は文政権に宿願の検察改革を求めている。
保守勢力を代弁
そして辞任の翌日の15日に注目の検察改革案が閣議決定された。今後の焦点となる。
文政権は「検察改 革」を最大の公約とし、今年1月に具体案を発表した。その責任者が当時の首席秘書官チョ氏だった。検察は独立権力として保守勢力の意図を代弁、政治家ら
を捜査・起訴して政 界を威圧し、「国情院」と連携し進歩勢力を弾圧してきた。
検察改革は、政治家や高級官僚の犯罪を取り締まる機関「高位公職者犯罪捜査処」を検察から独立に新設し、権限の多くを警察などに移管するという数十年来の韓国民主化の総仕上げだ。「国論二分」で支持率が下がった文政権だが、検察改革を実現すれば回復するだろう。
韓国市民の怒り 安倍政権や右派は、文政権が揺らげば植民地支配の告発は弱まると期待しているが筋違いだ。保守勢力は反北・韓米同盟強化でも、日本には反発している。
文大統領が一貫して対話を呼びかけているのに、安倍首相は無視し続けた。徴用工問題では韓国が6・ 19 提案(日韓企 業共同出資賠償の妥協案)を示しているのに一蹴した。韓国政府は自治体の「戦犯企業製品不 買条例 」 を留保させ日韓協議の環境整備に努めているが、それでも訪日観光客は6割減り、韓国向け食料品輸出は6割以 上減った。
安倍政権に「信用できない国」と罵倒され、植民地支配に無反省な日本政府への韓国市民の怒りは抑えようがない。
さらなる悪化も
李洛淵首相が携えた大統領親書には、 韓国民の対話による関係改善への熱い期待がある。しかし、安倍首相は話し合いの前提として「国と国との約束をまず守れ」と繰り返すだけ。
11月にはGSOMIAが「失効」し、12 月には被告の日本企業資産の売却が予 定され、さらなる関係悪化が危惧される。安倍政権は意図的に関係を悪化させている。嫌韓を煽り、改憲に突き進み、南北和解を妨害する「日本帝国」の 意図を打破しよう。