新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 道しるべ
  4. 2019.11.26
朝鮮幼稚園無償化外し
児童福祉法違反の差別
 10月に始まった「幼児教育・保育無償化」の財源は、消費税の2%引き上げ分から出ている。しかし、政府は朝鮮幼稚園を除外した。不当な差別に抗議する集会が東京など各地で開催されている。政府の対応のデタラメさを批判する。

外国人幼保施設
 政府は、「各種学校」の認可を受けた外国人学校に付属する幼保施設を無償化の対象から除外した。

 外国人学校幼保施設は全国に88あり、そのうち朝鮮学校の幼稚園が40施設、インターナショナルスクールやブラジル人学校などが48施設である。無償化の対象施設の0・16%に過ぎない。

 民主党政権によって2010年4月から実施された「高校無償化・就学支援制度」から朝鮮学校が除外されたのに続く不当な扱いである。

政府の除外理由
 政府は今年5月、都道府県など説明会に「幼児教育・保育の無償化に関する自治体向けFAQ」を配布した。それによると、各種学校が無償化の対象にならない理由を、@幼児教育を含む個別の教育に関する基準になっておらず、多種多様な教育を行っており、法律により幼児教育の質が制度的に担保されているとは言えない、A学校教育法に基づく教育施設については、児童福祉法上認可外施設には該当しない、としている。

 @については、子ども・子育て支援法の「すべての子どもが健やかに成長することを支援する」という理念から逸脱している。

 「多種多様な教育」を理由に排除するのは、今回の対象になった幼稚園にしても宗教色があったり、英語に特化しているなど画一的ではなく、「多種多様」である。「多種多様な教育」が「質を担保」できないというのも、ベビーシッターや一時預かりも対象になっていることを考えると、言いがかりに過ぎない。

 Aについて、「認可外保育施設」とは、児童福祉法に基づき1日4時間以上、週5日以上などの保育実態を持つ施設が都道府県に届け出れば、資格を得ることができる。児童福祉法とその施行規則には、学校教育法に基づく教育施設は届出対象外であるとの規定はない。

 最初から、朝鮮学校幼稚園を除外することを狙ったこじつけであることは明らかなのである。 

国籍条項はない
 児童福祉法第1条は「全ての児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること…」となっている。

 他の多くの法律と違い、国籍条項はなく、外国人にも適用される。そして、児童福祉法は児童福祉の基本法であり、対象は満18歳未満。国連の「子どもの権利条約」は、いかなる差別も禁じている。

 私たちは、児童福祉法の理念にのっとって、朝鮮学校の幼稚園をはじめ、外国人学校幼保施設も無償化の対象にすることを求めていく。
 ↑上にもどる
一覧へ
トップへ