20年度政府一般会計予算案は、19年度補正予算と一対の15カ月予算。計106兆円に迫る巨額予算は、安倍政権が力を入れる軍事力増強と第四次産業革命=デジタル資本主義推進に大きく投入される。安倍政権の暴走が止まらない。
消費税が税収トップ
当初予算案歳入の最大特徴は、消費税収を21兆7190億円と見込み、消費税が税収の最大項目になること。通年税率10%となるためだが、通年3%化の1990年度比で4・7倍にも。他方、法人税収は5G通信網普及への税優遇等で前年度当初比7930億円減の12兆650億円に。大衆消費課税が税制の要になった。
新次元の軍事力増強
安倍首相は軍事領域を宇宙・サイバー・電磁波にも広げ、新次元の軍備増強を推進している。
▽当初予算の防衛省分は過去最大の5兆3133億円。後年度負担も新たに2兆4050億円が生じる。これに補正予算4287億円が加わり、軍拡予算はまさに青天井に。
当初予算での宇宙関連経費は506億円で、航空自衛隊に「宇宙作戦隊」を新編成し「宇宙領域企画班」も新設。サイバー関連経費は256億円で、「サイバー防衛隊」を約70名増員の約290名とし、「陸自サイバー防護隊」も新編する。また次期戦闘機開発に280億円を計上し「我が国主導の開発に着手」する。
▽第二自衛隊化が進む海上保安庁は、尖閣警備と他の重大事案への同時対応能力構築を進めている。6000トン級でヘリ2機搭載の巨大巡視船2隻追加など、補正と当初予算を合わせ486・5億円を計上。定員も150名増やし、合計予算額は約2676億円にのぼる。
デジタル資本主義化
安倍政権は昨年12月に26兆円の新経済対策を決定、その要が日本の総デジタル化。安倍首相はデジタル化を「国家百年の計」と強調、西村経済担当相は「デジタル・ニューディール」と呼んだ。
補正予算では全小中学生にパソコン端末を持たせる学校ICT化に2318億円、ポスト5G情報システムに1100億円などを計上。当初予算でも科学技術振興費を前年度比187億円増の1兆3565円とし、スパコン「富岳」開発に60億円(補正でも144億円)などが並ぶ。デジタル化の大波はキャッシュレス化とマイナンバーカードの事実上の強制としても進んでいる。
安倍政権に対抗する
社会保障費は、幼児教育・保育の無償化、高等教育修学支援などで前年度比1兆7302億円増の35兆8608億円とした。だが、要求額から自然増が約1200億円削減に。
後期高齢者医療・介護保険での負担増、年金改悪が俎上にあり、これにデジタル資本主義化での格差拡大と雇用不安定化が差し迫る。生活と雇用を守り、軍拡と9条改憲に反対する野党の共同を広げよう。