戦後最悪の都市直下地震となった阪神・淡路大震災から、1月17日で25年の歳月が流れた。大震災を契機に、防災・救援・復興対策が見直され、新たな仕組みが作られてきた。しかし、現行制度には「継ぎはぎ」という批判が強い。
1995年1月17日午前5時46分、兵庫県南部を震源地に最大震度7、マグニチュード7・3の大地震が襲った。戦後に発生した自然災害全体でも、東日本大震災が発生するまでは最悪のものだった。死者6434人、全半壊の住宅は約25万棟に上った。 そして、地震では何とか命が助かった人が避難所でのインフルエンザなどで900人余(犠牲者の14%)が亡くなり、復興住宅での孤独死が20年間で1100人を超えたという痛ましい事態も地震後に起きたのである。
防災対策の不備
昨年は、台風による記録的豪雨や強風が相次ぎ、甚大な被害が全国各地で発生した。国は「推定浸水区域(ハザードマップ)」を指定しているが、その指定地域に避難所や災害対応拠点が設置されることになっている所もあり、ハザードマップが活かされていないことが分かった。
また、全国の主要な浄水場の22%758カ所が浸水想定区域にあり、そのうちの76%578カ所は入口の嵩上げや防水扉の設置などの対策がなされてなかったこと、豪雨で水位が限界に達したダムの「事前放流」体制も未整理であったことも判明した。
「災害ごみ」も数百トン発生したが、水害廃棄物処理のための「ごみ仮置き場」や初動態勢などは「災害廃棄物計画」から抜け落ち、処理完了までに2年以上かかる自治体もある。政府は「いのちを守る行動」を呼びかけたが、東京などでは住民が入りきれない避難所もあった。亡くなった7割が60歳以上であることも判明した。
阪神大震災以来、日本でも注目された米国のFEMA(連邦緊急事態管理庁)は、連邦政府直轄の常勤態勢で全米10ブロックに常設事務所を設置している。
日本の災害救援の実働部隊は、全国の自治体が登録する緊急消防援助隊6258隊・5万人強(19年4月現在)が担うとされるが、合同訓練は数年に一度だ。
自治体職員増員を
日本の災害対策は、東日本大震災の教訓から15年に災害対策基本法が改定され、それまで市町村が中心だった防災対策を国や県がサポートすることになり、各自治体も「防災・予防・応急措置・復興計画」を作成することになった。
従って、予防・避難・救援・復旧は自治体職員が中軸を担うことになる。しかし、自治体職員の4割は「常用公務員」ではなく、自治体が非常時にも、日常的にも役割を果たすことができない実態も教訓として明らかになっている。 従って、自治体職員の増員が災害対策の重要な柱であることは間違いない。