安倍内閣は12月27日に海上自衛隊の中東派兵を閣議決定、1月20日にP3C哨戒機2機、2月2日に護衛艦「たかなみ」が現地に向かった。シビリアンコントロール逸脱で、撤回すべきだ。
国会無視の派兵
海自の中東派兵は、安倍内閣が防衛省設置法第4条を根拠に「調査・研究」を目的として、国会閉会中に「閣議決定」し、急遽派兵したものだ。国会審議もないまま、国民不在の海外派兵である。
これまで、自衛隊の海外派兵は主に国連平和維持活動(PKO)だった。それ以外の自衛隊派兵は国会議論を経て「特措法」などで活動範囲と派兵期限などを定めてきた。今回はそれをも無視し、防衛省設置法による派兵だ。
かつて「イラク特措法」で派兵された空自が米兵や武器輸送を行う違憲行為を行い、政府が隠ぺいしたが、このような事態が懸念される。
また、今回の派兵は米国の要請に応えたものだ。米国は昨年、日本を含めた7カ国にホルムズ海峡など4海域の監視活動のための「有志連合」参加を呼びかけた。派遣された海自部隊は直接的に危険海域ではないオマーン湾で活動するというが、情報は米軍と共有し事実上一体化している。
危うい警備行動
政府は国会答弁で、不測の事態を想定せず、「自衛隊が武力紛争に巻きこまれる恐れはない」と言うのみである。中東の紛争海域で、海賊や武装勢力の攻撃にあった場合、防衛相は一定の条件で反撃できる「海上警備行動」を発令する。だが、これまでの活動では事実上は現地部隊の判断に委ねられ、武力行使の危険性は拭えない。
自衛隊中東派兵で留意すべき点は、安倍内閣が「専守防衛」の立場をかなぐり捨て、集団的自衛権が行使できる安全保障戦略に大転換していることだ。
また、自衛隊はソマリア沖・アデン湾に海賊対処のために2011年7月にジブチ基地を設置し、現在約400名が活動している。海自はジブチの基地を拠点とするが、今後は中国海軍封じ込めのための自衛隊海外基地の固定化、強化を狙っている。
トランプ説得を
日本の原油の輸入依存度は中東が90%を占め、年間3900隻が航行している。広大な海峡で武装勢力の攻撃は防げない。
日本がすべきは、平和外交に徹し、5カ国による「イラン核合意」に米国が復帰するよう説得し、自衛隊を中東から撤退させることだ。