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  4. 2020.03.10
広がる新型肺炎
検査体制なくて対策なし
 安倍政権は、オリンピック優先で新型コロナウイルス感染の広がりを隠蔽しようとした。検査をサボって深刻な事態となると、「一斉休校」で混乱は更に拡大している。検査の拡充なくして有効な対策はありえない。

 国内発症から1カ月半、政府は感染拡大の実態を解明しようとしなかった。それは、「PCR検査」の拡充を拒んできたことから明白だ。「高熱が続く子の検査を求めても保健所で断られる」という母親の悲痛な叫びは氷山の一角だ。

感染者数を「操作」
 識者は保険適用し民間機関を活用すれば、いくらでも検査は可能と指摘してきた。加藤勝信厚労相は国会で検査拒否の理由をただされても、「調査中」としか答弁しなかった。

 韓国では1日1万数千件実施し、実態を掌握していた。日本は、2月末でも1日数百件という状態。公表感染者数を意図的に「少数にした」と考える他ない。

 この政府の姿勢が確信犯であることは、2月25日の「対策」に示された。
 
 「適切な相談をせずに医療機関を受診するな」「軽症者は自宅に」と国民に求めたのだ。検査に行くなと求めたに等しい。

 高齢者は新型肺炎でなくとも、早く検査しなければ命に関わる。感染していることに気づかずに電車などで通勤すれば、感染は拡大する。軽症のうちにこそ、検査すべきだ。

 事態を軽く見せ、消費増税で悪化したGDPや五輪開催への悪影響を防ごうとしたに違いない。しかし、感染拡大と世論の批判に窮し「保険適用」「一斉休校」になった。だが、なぜ画一的な休校なのか科学的な根拠はない。

 検査を韓国並みにしていれば、感染状況に対応した休校方針もあり得た。対策費も150億円ですむはずがない。韓国は1兆4千億円だ。

直接支給すべきだ
 感染家族は隔離治療するが、その家族には所得保障し、感染地域には地域限定の商品券を配る。香港政府は住民に一律14万円を支給する。一斉休業も見越しての所得保障だろう。

 しかし、安倍首相が示した労働者の休業補償などは企業への助成金方式が主体だ。雇用形態の多様化や自営業者も考えれば、個人に直接支給する「直播」方式が有効だ。いずれにせよ、全国的な検査によって実態を把握しなければ対策もたてられない。

 安倍政権は、原発事故で東電経営者が問われた「業務上過失致死」を犯しつつあるのではないか。

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