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  4. 2020.04.21
緊急事態宣言
改憲事項にしてはならぬ
 
 「ショック・ドクトリン」という言葉が話題になっている。新型コロナウイルス対策に便乗して政治的悪事を強行しようということらしい。緊急事態宣言で改憲の流れを許してはならない。

 世の中が新型コロナ一色に染まろうとしていた1月30日、自民党の伊吹文明元衆院議長が「新型肺炎の緊急事態に、憲法が保障する移動の自由、勤労の自由、居住の自由をどう制限するか。改憲の実験台と考えた方がいい」と発言した。 

時代錯誤の言葉
 伊吹発言が「ショック・ドクトリン」の象徴なら、発言を裏付けるのが自民党の「令和2年運動方針」であり、「コロナ特措法」に基づく「緊急事態宣言」だ。

 自民党は、新型コロナの感染拡大のため全国大会に代わる両院議員総会で新年度の運動方針を決めた。運動方針は冒頭に「新たな時代にふさわしい憲法へ」と題する章を立て、「改正原案の国会発議に向けた環境を整えるべく力を尽くす」と決意を鮮明にする。

 改憲を独立の章で打ち出したのは、第二次安倍政権発足後初めて。しかも、運動方針にある「令和の御代」という時代錯誤の言葉は、主権在民の憲法原則を真っ向から否定する。

 そして、昨年の参院選で「『(憲法改正の)議論を前に進めよ』との国民の強い支持を得た」とし、両院の憲法審査会に「各党各会派の枠を超えた議論」を求め、「各党各会派からの意見・提案があれば真剣に検討するなど幅広い合意形成を図る」などとする。

 参院選で安倍首相は「憲法について議論する政党を選ぶのか、しない政党を選ぶのか」と述べた。自民党は第一党を維持したものの議席を減らし、参院の「改憲勢力」は改憲発議に必要な3分の2を割ったのである。

首相はウソつき 
 「改憲の議論は進めるな」が民意であり、安倍首相はウソをついている。共同通信の2月の世論調査では、安倍首相の下での改憲に反対と答えた人が56・5%を超える。

 安倍首相はまた4月7日の「緊急事態宣言」発令の議論が行われた衆院議運委で自民党の改憲4項目に触れ、緊急事態条項の創設は「極めて重く大切な課題」「今般の対応を踏まえつつ国会の憲法審査会で与野党の枠を越えた議論を期待したい」と述べた。 

 日本維新の議員の「強制力を担保するため、憲法改正による緊急事態条項の創設を」という誘い水に、わが意を得たとばかり応じたのだ。緊急事態を改憲事態にしてはならない。

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