全国一斉休校が3月2日から突然始まったために体制を整えることができず、学校現場は大混乱している。また、家庭では見通しの立たない不安が増大し、虐待リスクも高まっている。
安倍晋三首相の要請で、小中高校が一斉休校に入って2カ月が過ぎた。
臨時休校は学校保健安全法に基づき、地方自治体(教育委員会)が判断すべきことだが、超法規的な突然の要請で学校現場は通常の夏休みに入る時のような準備ができず、問題が噴出している。
感染防止と学習権
1つは、子どもたちの感染防止と学習権(教育を受ける権利)をどう両立させるかという問題だ。当初は学年別の時差登校や午前と午後の二部授業等々、工夫する動きも見られたが、感染リスクの点から取り止めに。
文科省はGIGAスクール構想の前倒しを図り、来年度中に1人1台のPC・タブレットを実現させるという。それでも臨時休業している今のオンライン授業には間に合わない。無料動画教材や学習プリントもネット配信されているが、環境が整っていない家庭では使えず、格差が拡大してしまう。
4月から学ぶ教科書すら配ることができていない学校も多い。学校再開までの間、学校や教育委員会は工夫して子どもたちの学習権を保障する手立てを工夫してほしい。
給食がなくなって
2つめは、子どもたちの食事は確保されているのかという懸念だ。18年度の文科省調査によると、朝食を毎日食べる習慣が身に付いていない小学生が15%を超える。学校給食で栄養を摂っていたのだが、その給食がなくなってしまったのは大きい。コロナの影響で親・保護者の収入も減っている。国や自治体による現金給付等の対策が必要だ。合わせて、子ども食堂への補助金も考えてほしい。
親の不安が虐待に
3つ目は、家にいて逃げ場のない子どもへの虐待だ。学習の目標や課題がなく、友達や遊びを奪われた子どもたちはゲームやスマホへ。
一方、親・保護者は感染の不安や、仕事ができない不安、見通しの立たない不安が増し、言うことを聞かない子どもを叱ることが増える。児童相談所は通常の夏休みなら見守り体制を整えるが、急な休校措置のため整えきれていない。
虐待リスクが高まる中、学校や児童相談所は電話で子どもたちに家での過ごし方をアドバイスしたり、親・保護者の悩みを聞き、逃げ場作りをしてほしい。