辺野古新基地建設問題が最大の争点だった1月の名護市長選挙で圧勝、再選された稲嶺進市長は2月13日、参院議員会館で沖縄等米軍基地問題議員懇談会が開いた勉強会で要旨次の報告をした。
相手は候補者一人ではなく、日本政府・自民党本部という大きな力、権力だった。しかし、多くの皆さんがそれらを吹き飛ばした。
石破茂・自民党幹事長は投票日の3日前に突然、名護市民が喜ぶと思ったか500億円の振興基金を打ち出した。逆に「そこまでコケにするのか。ウチナンチューはそういう風に見られてきたのか」という悲しさと寂しさと怒りが選挙結果だ。
石破さんは結果的に稲嶺を応援した。自民党の5人の国会議員、県連、そして知事も権力と札束に負けて埋め立てを承認したから、500億出したらもっと喜んでくれると思ったんだろう。
過去10年間、北部振興など防衛関連予算が1000億円、名護・ヤンバルに投じられたが、名護市民は誰一人として生活が良くなった、企業が力をつけたと実感しなかった。そのことを学習した市民は、「3000億や500億は誰のためか、どこに流れるのか」と冷めた目で見ていた。
4年間、そうした交付金がなくてもやっていけることを、市民目線の施策を展開した。子育て支援、教育環境整備などを市民が理解し、賢明な判断をした。そして、辺野古については子や孫に負の遺産を残してはならないことを理解した。
10年間の期限付きの再編交付金をもらうのは今の大人の世代、後に残るのはV字滑走路、オスプレイの危険、そして苦しみ、それは未来の子どもたちが被ることになる。そのことを今の大人が決めていいのかと訴えた。
何はともあれ、党派を超えて応援してくれた。象徴的なのは環境産業・かりゆしグループ社長の平良朝敬氏の応援。従業員300人を集めて決起集会を開いてくれた。
平良さんはこれまで自民党を応援してきたが、観光産業・平和産業を営む者にとって辺野古基地はとても許せるものではない、将来、100機ものオスプレイが昼夜を問わず、しかも低空で飛び交う所に観光客が来るはずがないと強力に応援してくれた。このようなこれまでにない動きが今回の特徴だった。
沖縄の基地問題は、イデオロギーで論ずるべきではなく、生活、人権の問題だ。そこで保守・革新などと言っている場合ではない。
選挙はそうしたうねりの中で闘われ、投票箱が閉まると同時に民放が「当確」を打った。名護市で、沖縄県で、全国的に「負けられない選挙、国会議員や知事までがドミノ倒しでつぶれていく中で名護市は最後のトリデ」という決意で皆さんが頑張ってくれた結果だ。国からの圧力にもめげずに闘い、名護市民が誇りと気概を示し、それを全国の皆さんが支えてくれた。
この動きは国内にとどまらず、選挙中にオリバー・ストーンさんをはじめ29名の著名な皆さんが声明を出して応援してくれた。その動きはさらに広がって1000名の皆さんが応援してくれた。
名護市、沖縄は孤立するのではないかと心配したが、孤立するのは日本政府だ。これからが正念場、全国民から支持される運動を作り上げたい。
日本中、世界からの応援があるなら、私も前面に立って辺野古を白紙に戻す、普天間即返還を勝ち取っていく決意だ。
オール沖縄が崩れかけているというが、「建白書」も生きている、沖縄はまた一つにまとまれる。再構築のスタートが今回の市長選でありたい。
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