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 2014.06.03
秘密法とツワネ原則(下)
ジャーナリストにも刑事罰
米政府元高官 ハルペリン氏の講演




 「ツワネ原則」は、多くの組織、政府機関、また欧州評議会、そうした団体からも認められている。ある政府が新たな秘密法を作る場合、ツワネ原則に照らし合わせなくてはならない義務がある。ところが、日本の秘密保護法はしていない。
 私の見解では、新しい法律を作るときにツワネ原則に照らし合わせなくてはならないし、それを逸脱するときはなぜ逸脱するのかを説明する義務が政府にはある。日本の秘密保護法は、この点でも欠陥がある。
 皆さんにお願いしたいことは、政府に秘密保護法の再検討を求める場合、もっと市民社会と協議すること。そして、国際的な専門家と意見を取り交わすこと、ツワネ原則に照らし合わせること。これらを要求しなくてはならないということだ。


 秘密法保護法に似た法律を持っている場合、国家の安全保障問題の情報とどんな関係にあるか話したい。
 米国の場合は何年もかけて法律を作ったが、とくに微妙な情報、たとえば国家安全保障、核兵器の情報についての法律がある。米国は同盟国、NATOの国々と協議を続けて秘密法を作った。
 次に、日本の秘密保護法がツワネ原則から逸脱していることについて話したい。一番の問題は、秘密の情報を公開することに対して刑事罰があることだ。ツワネ原則にはこのような規定は全くない。

 この法律がなくても、すでに一人の新聞記者を起訴した例が日本にはある(元毎日新聞記者の西山太吉氏が沖縄返還協定の密約を暴き、逮捕起訴された事件=編集部注)。
 米国の同盟国にも秘密保護法を持っている国はたくさんあるが、民間人、たとえばジャーナリストのような人を刑事罰に科すということを法律で持っている国はない。
 日本の法律についてはジャ―ナリストの処罰に対する可能性の制限をつけていない。したがってどのジャ―ナリストもこの法律について心配している。


 政府の職員(国家公務員)が秘密情報を公開した場合の刑事罰。こうした場合も、ツワネ原則では秘密情報を漏らした公務員に対して刑事罰でなく、行政処分、例えば解雇とか、そのように解決することを求めている。
 ツワネ原則は公務員が秘密情報を漏らした場合、特定のカテゴリーの情報を漏らすということについて規定を設けている。日本の場合はこの点が非常にあいまいだ。
 まず、ツワネ原則は、内部告発者の保護を言っている。つまり、内部告発者が政府の汚職、あるいは不法行為、違法行為を公開した場合に、この内部告発者を処罰してはならないという規定がある。
 そして、秘密情報を公開することにおける公衆の利益の方が秘密にしておくよりも価値があると判断される場合。それはツワネ原則には、どの情報を機密指定するかという手続きが書いてある。
 ツワネ原則は、政府が情報を秘匿していいときには、その情報が市民の、そして識別できる被害をもたらすということが明確な場合で、戦略上有効な期間と期限を求めている。
 そして、被害がどんなものであるかということを明確に示さなくてはならないとツワネ原則は言っている。しかし、日本の秘密保護法の場合には、1パラグラフずつのメニューではなく、文章全体になっている。
 さらにツワネ原則では、政府は秘密に指定された情報がいつ開示できるのか、また、情報を秘密指定した理由について明らかにしなくてはならないと決めている。
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