政府は9月10日、昨年12月に強行採決で制定した特定秘密保護法の運用基準に対して8月24日までの1カ月間にパブリックコメント(意見公募)に寄せられた2万3820通の意見と、27カ所を修正した運用基準案を公表した。
寄せられた意見の多くが運用基準に対するものではなく、法律そのものの廃止や条文の見直しを求める内容。運用基準の「修正」に抜本的な内容はなく、政府の恣意的な秘密指定を防ぐ手立ては講じられていない。
政府は、10月上旬にも運用基準と政令を閣議決定し、12月上旬の施行を目論んでいる。
「秘密保護法は、戦争の準備のために政府が国民をだまし、そのウソを暴こうとするジャーナリストや市民を葬り去る法律」と秘密法廃止運動の先頭に立っている海渡雄一弁護士(前日弁連事務総長)は修正運用基準案に対し、「一部修正されたが、国民の知る権利を侵す恐れがあるという特定秘密保護法の根本的な問題は何ら改善されていない。国民が国政について判断する際、国の施策の情報が正確に入らないと、的確な判断ができない。日本の進路を誤らせる可能性がある」と厳しく批判するコメントを9月11日付『東京新聞』に寄せている。
特定秘密保護法は、防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野に関する事項のうち「国の安全保障に著しい支障を与える恐れがある情報」を特定秘密に指定し、漏えいした者に最高10年の懲役を科す法律。特定秘密を扱う公務員や防衛産業従事者の身辺調査を行う「適正評価」も実施する。
|