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 2015.06.02
呉東 正彦弁護士講演 集団的自衛権と安保関連法案〈上〉
国家が暴れないように憲法で縛る


 「壊憲NО!96条改悪反対連絡会議」は5月3日、横浜市内で「通すな!戦争参加法学習講演会」を開き、「米空母母港化を考える会」共同代表の呉東正彦弁護士が「集団的自衛権と安保関連法」と題して講演。呉東さんは、憲法9条の存在意義などについて話すとともに、横須賀の原子力空母撤去の闘いに協力を要請した。
 原子力空母ジョージ・ワシントンは5月18日、母港としていた横須賀港を出港。今秋には、東日本大震災で「トモダチ作戦」に参加した同型艦ロナルド・レーガンが配備される予定で、原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会は、空母交代問題を横須賀市民に知らせるリーフの全戸配布、交代の是非を問う1万人市民アンケートなどに取り組んでいる。
 呉東講演の「集団的自衛権と安保関連法」の大要を連載します。



 憲法と現在行われている安保法制との関係はどうなっているか。
 まず、憲法とは何か。憲法は国の最高法規である。その憲法が一番言わんとしていることは何か。個人の尊厳だ。私たち一人ひとりが、この地球でかけがえのない大切なもの、日本という国では一人ひとりが一番大切にされなくてはならない、そういう国をどうやって作っていったらいいのかということを決めたのが憲法だ。
 そのために憲法は基本的人権の尊重を定めている。これは一人ひとりの人間が大切にされるための栄養素のようなもの。逆に言うと、これがないと人間は生きていけない。例えば過去の歴史で生存権がないため、人々は本当につらい思いをした。
 思想信条の自由、働く自由、そういうものがないために私たちの先輩は本当につらい思いをしてきた。命を落とし、また、それを獲得するために闘った。そして、この栄養を本当に生かして幸せになっていくのは私たち自身。憲法が保障しているのは幸福追求権だ。それを生かすのは私たち一人ひとりだ。
 逆に、私たちが幸せになろうとしているのを邪魔しているものをできるだけ抑えていかなくてはならない。歴史の中で一人ひとりの人間の自由や命を奪ってきた。その大きな一つが国家だ。近代の国家権力は自分たちの利益を守るために多くの人たちの利益や自由を犠牲にしてきた。
 今の日本もそうだ。国家が自由に動けるようになったら私たちの自由は縮まる。私たちが本当に幸せに生きるためには、国家というライオンが暴れないように鎖で縛り付け、檻の中に入れた。それが憲法だ。つまり、憲法は私たちの人権を守ると同時に、私たちの人権を侵害する最大の敵である国家を厳しく縛り付けた。


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