武力行使できるのは個別自衛権、日本が攻められた場合だけと言っていたのを、アメリカが攻められている、アメリカが交戦している場合でも、日本の存立、あるいは日本人の人権が脅かされる恐れがあるというあいまいな要件、武力行使三要件を設けているが、その場合でも集団的自衛権が行使できるように拡大しようとしている。日本が戦争状態に入るということ。
さらに隠れた武力行使、後方支援やPKOという名で同じことをやろうとしている。後方支援は今までのルールで言うと、あくまでも日本周辺で武力事態が発生した場合だけできる。それ以外では、イラク特措法とか特別措置法を作らなくてはならなかった。
ところが、後方支援という隠れた武力行使を世界中で行おうとしている。しかも、特措法ではなく、国会の承認さえあれば派遣できるようなオールマイティな法律を作ろうとしている。PKO活動についても武器使用を緩和しようとか、活動の内容を拡大するとか、そうした三重の構造で考えている。
それを具体化しようとしているのが4月末に改定された「新ガイドライン」。本来、憲法を変えなくてはできないことを、先にアメリカとの約束で決めて破ってしまおうという。これも大きな問題だ。その中では宇宙空間でも協力する、サイバー攻撃にも協力する。「切れ目ない協力関係」ではめられていた枠を取ってしまう。
そして、安倍内閣が出そうとしている10本程度の法案で具体化しようとしている(注講演は5月15日の法案提出前に行われた)。集団的自衛権を行使するために存立危機事態という、武力攻撃を受けていないが、存立危機でも武力攻撃できるというように拡大する。日本の周りの周辺事態を重要影響事態に変えようとしている。あいまいな言葉にすればするほど縛りが緩んでいき、日本周辺から世界中に拡大しようとしている。
さらに後方支援できるのはアメリカ軍だけでなく、オーストラリアやイギリス、フィリピンなど、どこの軍隊にもできるようにしようとしている。
そして、特措法を国際平和支援法にして個別対応でなく、オールマイティにする。そのなかで戦闘中の他国軍を後方支援でき、常時派遣できるようにする。PKO協力法では国連以外の活動もできるようにする。
このように、それぞれがどんどん広がっていく。そして、その先に目指すものが憲法改正だ。だからこそこれからの国会は非常に重要になる。私たちがやらなくてはならないことは、まず安倍内閣は夏までに集団的自衛権関連法案を通そうとしているが、大きな国民運動を作って国会を包囲して成立を阻止すること。
もう一つは来年の参院選挙が重要になる。改憲勢力に三分の二を取らせないためにどういう動きを作っていくか。護憲勢力を再結集していくことが極めて重要なことだ。
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