広島に原爆が投下されて71年目の8月6日、広島市で約5万人が参加して平和記念式典が開かれた。原爆が投下されたその年には14万人が亡くなり、この1年間に5511人が死没、総数30万3195人になった。また、被爆者手帳を持つ人は17万4080人(16年3月末)、平均年齢80・86歳だ。
松井一実市長が「平和宣言」を読み上げた。宣言は今年5月のオバマ米大統領の広島訪問に触れ、「絶対悪の核兵器を許さないというヒロシマの思いが届いた証」とし、「絶対悪」としての核兵器を消し去る道筋をつけるために「情熱をもって連帯し、行動を起こすべきではないでしょうか」と訴えた。
任期残り少なくなったオバマ大統領は、政権の遺産として国連の場で核実験の禁止を求めることを検討していると伝えられる。しかし米国は包括的核実験禁止条約(CTBT)は未批准、しかも「使えるスマートな小型核兵器」の開発を進めており、国際的な批判の的。米国内でも軍部を中心に核実験禁止に動く「オバマ遺産」に反発が出ている。
そうしたなか、安倍首相は平和記念式典で「核兵器のない世界に向け努力を積み重ねてまいります」と挨拶した。しかし、第二次政権後4回目の式典出席となる今回も歴代首相が用いた「憲法を守る」という言葉はなかった。式典後、被爆者7団体が「憲法は被爆者の遺言。改憲の企ての中止を」と要請したが、首相はこれには答えず、その後の記者会見で改憲の意欲を述べた。
核廃絶と不戦の誓いは改憲反対と一体。安倍首相は国民をどこまでも欺き続ける気だ。
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