ジャーナリスト小笠原みどりさん講演<2>
エドワード・スノーデン氏へのインタビューから、今何が問われているか問題提起したい。インタビューは5月半ば、カナダのオンタリオ州国立大学のビデオカンフアレンスルームから、スノーデンはロシアの自宅かどこか分からないが、インターネットを通して2時間半くらい行った。
スノーデンが暴いたNSA(国家安全保障局)監視システムとは何か。「9・11」以降、ブッシュ政権下で始まったアフガン戦争、イラク攻撃以来の対テロ戦争の下で作られた極秘のシステム。
9・11直後にブッシュ大統領がNSAに、勝手に各国内の電話の通話記録を収集していいという秘密の権限を与えたところから始まった。その後に成立した「愛国者法」を拡大解釈するような形で急速にでき上がっていったシステムだ。愛国者法を使ったことは、議会にも通されていなければ、透明性や民主的な議論はないままに肥大化していったので、スノーデンの暴露があるまではその実情はほとんど知られることはなかった。
NSAそのものが長い間、謎の機関といわれ、実際に存在するのかどうかも分からず、どこまで私たちの生活に関わっているのかということも分からなかった。スノーデンはNSAがやっていることは何なのかということも同時に明らかにしたと聞いている。
NSAは軍の機関の一部で、アメリカには他にもいろいろな諜報機関があって、CIA(中央情報局)、FBI(連邦捜査局)などがあるが、NSAは国防長官直属の機関だ。
スノーデンが日本で勤務していたところは、米軍横田基地内で、その中に日本のNSAの代表もいて、そのビルの中でいろんな情報を集めるスパイ活動をしているが、横田だけではない。日本の米軍基地は戦争の準備、訓練をしているだけでなく、現在では諜報が主要な任務になっている。アメリカ大使館の中にも大きな諜報施設があるということは、知る人ぞ知る事実だ。
他にも海軍横須賀基地、空軍三沢基地。三沢は随分長い間、衛星通信の傍受基地になっていてゴルフボールのような形をした巨大な球形の傍受設備がいくつかあり、冷戦時代から共産圏の衛星通信傍受、西側諸国の商業用の通信を担っていたインテルサットの通信も傍受していた。 そうしたことがNSAの前身のエシュロンの時代から引き継がれていて、今では衛星傍受から、みんながコンピュータを使ってEメールやチャットなど主要な通信の手段がこちらに移ったので、コンピュータ上の情報を大量に傍受する手法に移り変わっている。
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