ジャーナリスト小笠原みどりさん講演<5>
スノーデンの話だと、政府から「この人とこの人の情報が全て流れるようにしてほしい」というように協力を求める要請があって企業の側が提供するという形になっている。
マイクロソフトが一番早い段階で2007年くらいから協力し始め、ヤフー、グーグル、フェイスブック、パルトーク、スカイプ、AOL、アップル、企業の間で多少の抵抗はあったようで、ツイッターは最初断ったと聞いている。
この資金がどこから出ているかということだが、私たちの税金から出ているということはきちんと見ておかなければならない。
次にハッキング(他人のコンピュータに不正に侵入するなどの行為)。かなりピンポイントでこのコンピュータをハッキングするとか、ウィルス感染させるとか、ターゲット化してコンピュータを乗っ取ることで全てをリアルタイムで監視できるようになっている。すでに10万台以上のコンピュータがアメリカのウィルスに感染させられているという。 そして、外国政府との協力。信号情報を集める情報収集の仕方、5アイズ(注)、NATOなどの国際機関、日本なども入っている。こうした協力国を通じても情報を集める。
さらにネットワークツールに監視機器を埋め込んで輸出する。そもそもインターネットはアメリカから広がっていった。アメリカの軍事技術開発に由来するわけで、シリコンバレーに代表される様々なITの企業が世界中にコンピュータ部品を送り出している。
そのネットワーク機器、ルーターとかサーバーとか、そういうものを空港などで定期的に押収してその中にスパイウェアを紛れ込ませる。信じられないような、スパイ小説のような話だが、手作りのスパイ工作も行われていて、中国向けや日本向けのデバイスが誰に行き着くか分からないが、行き着いた先の情報を丸ごと得られる。
スノーデンの暴いたNSAのシステム、そしてインタビューの中からいくつかの問題点を絞ると、まずプリズムに代表される監視のシステムは、民間企業の協力なしにはあり得ない。政府の中にもそうした技術を理解できる人はいないし、技術を使うのはエンジニアが協力し、なおかつ新しいシステムを構築していかなければ、世界監視網はありえなかったということだ。
5アイズ 英米を中心とした諜報に関する協定の通称で、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国間で締結されている。加盟各国の諜報機関が傍受した盗聴内容や盗聴設備などを共有・相互利用する。
|