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 2016.11.15
スノーデンの警告<7>
NSAは日本政府や企業も盗聴


 ジャーナリスト小笠原みどりさん講演<7>


 最近、事件が起きるたびに「監視がもっと必要だ」という宣伝が大々的に行われているが、欧米のメディアを見ている範囲では、大きな声ではないが、「この事件は防げたのではないか」という記事が必ず出ている。
 スノーデンが上げたものは、ボストンの爆弾事件やパリ襲撃事件、その後のブリュッセルの空港爆破事件とか、その容疑者に関する情報が前もって外国政府から提供されていたという事実だ。ボストンの場合はロシアからCIAに、ブリュッセルの場合は、その前に起きたパリ襲撃事件の容疑者とのつながりがあった。
 パリ襲撃事件は、トルコ政府から容疑者に関する情報がいっていた。にもかかわらず諜報機関は、情報はあったのにそれを生かすことができなかったのかという問題提起がされている。こうした点はきちっと検証する必要がある。


 スノーデンのように現場を体験している人に言わせると、情報が莫大にあるにもかかわらず、対応が全然追いついていないということだ。何億というメールが日々入ってくるわけだから、いくら職員を抱えても全てデータ解析することはほとんど不可能。情報の海の中に溺れている状態だと彼は言っていた。
 それでは、全てのデータを情報解析するようなスーパーコンピュータが現れればいいのかというと、それも違うような気がする。現状はそういう状態で、情報は足りている。
 イギリスの大手新聞『ガーディアン』には「諜報機関は悲劇を利用して監視システムの拡大を図っていくのではなくて、むしろ自分たちの失態がなぜ起きたのか、きちんと検証すべきだ。人の悲劇を利用するな。足元を見るな」と書いてある。


 スノーデン自身がインタビューで語ったことだが、「テロを止めることは全然できてないのに、テロ対策は有効でないのに、監視プログラムはなぜ存続するのか。答は簡単、テロ対策以外のことに役立っているからだ。
 それは何か。例えばアメリカはエシュロンの頃からNSAのシステムができる前から外交スパイ、経済スパイをずっとしていて、冷戦期の頃から敵と言っていた東欧圏をスパイしていただけでなく、西側諸国の中でも同盟国といっていた日本および西欧諸国もずっとスパイしてきた。 経済スパイの中身が明らかになったのが、去年、ウィキリークスが曝露した「ターゲット トーキョー」のケースで、経済産業省や内閣府など日本の官庁や日銀などが2007年以降盗聴されていたという。非常に大規模な盗聴事件の内部文書が明らかになった。