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 2016.12.06
スノーデンの警告<9>
映画作りにも妨害


 ジャーナリスト小笠原みどりさん講演<9>


 イギリスの諜報機関であるGCHQ(政府通信本部)は、社会意識操作のための手段を分析、かつ実行しているという。それは、市民団体や国にとって脅威とは言えないまでもある種、民主主義の中で非常に健全な意見交換間や意見を戦わせるプロスをつぶしていくものだ。


 GCHQは、そういう社会心理操作、世論操作、どういうふうにしたら次の選挙で自分に正当に投票してもらえるかといったことを含めて、いろんな情報の分析をやっている。
 社会心理学者などの専門家も雇われていて、どういう質問をすればこちら側に誘導できるかとか、どういう情報を流せば、この人の信頼性を失わせることができるか、あるいは組織の中に分裂を引き起こすことができるか、そういうことがされている。調査報道ジャーナリスト、権力のウォッチャーとして日々活動している人たちが、内部告発者を予めニュースが出る前に見つけ出してつぶす。
 調査報道ジャーナリストとしてはローラ・ポイトラス監督で『シチズンフォー スノーデンの曝露』。スノーデンの曝露を最初から撮った映画が日本でも今年6月から公開されているが、ポイトラス監督もスノーデンを撮る前から空港を通るときにフィルムを取られたりとか、パソコンの中身を見られたりといった嫌がらせを受けた。
 また、スノーデンの曝露の最初の書き手となったグリーン・オールドのパートナーもイギリスで拘束されるなど物理的な力を使って妨害が始まっている。
 そうしたものは見えるが、実際には取られているとか読まれているとか、気付かない。だけれども調査報道ジャーナリストは、テロリストと同じ「脅威のリスト」に既に入っているということを『ガーディアン』は書いている。


 最後にスノーデンが語ったことは、こういう私的な監視、全知全能と見まがうような監視システムが出来上がると、職員は毎日毎日それを前にしてそれを使ってみたくなる。自分の恋人や配偶者、元ガールフレンドなどを盗聴する。これもバカにならない件数と見られていて、ある1年間のNSA本部(メリーランド州にある)に限った内部調査に限っても3000件近くの乱用があった。
 本部以外にもたくさんある。日本でも、横田、横須賀、三沢、キャンプハンセン、嘉手納に主要な盗聴施設があるといわれるが、アメリカ大使館も含めて各国にあるアメリカの諜報機関で機材を使っている人数を考えたら、こうした私的な覗き見はかなり頻繁に起きているということが簡単に想像できる。