新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 憲法/平和
  4. 2016.12.13
 2016.12.13
返還で基地強化に反対
沖縄への構造的差別がまた明らかに


  “オール沖縄の思い”実現へ

                沖縄・一坪反戦地主会
                関東ブロック共同代表 大仲 尊

 沖縄・高江のヘリパッドの年内完成目前に、日本政府が北部訓練場の部分返還をアピールするなか、翁長雄志知事は11月28日の知事就任2年のインタビューで、「苦渋の決断の最たるものだ。約4000ヘクタールが返ってくることに異議を唱えるのは難しい」と述べた。返還条件とされるヘリパッドの新設を容認し、安倍政権の強硬姿勢に屈したのだろうか。
 「返還」という名の下に基地強化が進められるSACO(日米特別行動委員会最終報告)に脚を絡め取られたのであろか。だが北部訓練場の部分返還の内実とは、海兵隊の「戦略展望2025」で「最大で51%の使用不可能な北部訓練場を日本政府に返還する間に、限られた土地を最大限に活用する訓練場が新たに開発される」と明記する。すなわち、不必要になった土地を返上し、最新鋭の輸送機MV22オスプレイ用のヘリパッドを日本の金で造り、宇加川河口流域と連動した、陸・海・空の新しい訓練環境をつくるという基地機能の強化にほかならない。
 辺野古での新基地を拠点にやんばる(高江)や伊江島の米軍補助飛行場をトライアングルで結び、オスプレイが自由に飛び交う訓練の一端である。それを「負担軽減」と称し、沖縄側に履行を迫ってきたのがSACOの狙いだ。
 翁長知事は今一度、2013年1月の「建白書」へ、オール沖縄での知事選公約に立ち返るべきだ。SACO合意は破綻 そもそも、SACO合意とは、1995年に起きた米兵3人による少女暴行事件をきっかけに、日米両政府が沖縄にある米軍基地の整理統合と在日米軍地位協定の運用改善だった。96年12月2日に合意した最終報告である。
 それから20年になる。その本質は「負担軽減」に名を借りた米軍基地の固定化・機能強化にほかならない。今となっては、この20年間にわたり沖縄に不条理を押し付けたすべての元凶は、SACO合意である。もはやSACO合意は破綻したというべきだ。


 予防弾圧を許すな

 だが、この間に見えてきたものがある。沖縄の現状を直視しないばかりか、民意を踏みにじる日本政府と、それを半ば黙認する圧倒的多数の人々の存在である。また沖縄への構造的差別が活火山のマグマのように地表に顔のぞかせた。これから先、沖縄はもっともっと理不尽なことに耐えなければならないのだろうか。
 今年1月、キャンプシュワブゲート前でコンクリートブロックを積み上げたとして山城博治さんが11月29日、再々逮捕された。他3名が不当逮捕されたが、翌日に拘束を解かれた。同時に8カ所に強制捜査が入ったという。沖縄県警によるこのような暴挙は、高江ヘリパッド建設反対運動、辺野古新基地建設反対運動への弾圧にほかならない。
 しかも、辺野古新基地建設反対の闘いに対する予防弾圧である。弁護士によると、「高江や辺野古での警察の横暴は、復帰前の米軍施政下よりひどい。戦後沖縄の歴史の中でも、まれに見る権力の暴走が高江と辺野古で起きている」と。
 このような権力による弾圧を許してはならない。