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 2016.12.13
スノーデンの警告<10>
秘密が増殖し、民主主義は腐敗


 ジャーナリスト小笠原みどりさん講演<10>


 スノーデンは、「監視は最終的に権力に抗する声を押し潰すために使われる。反対の声を潰すとき、僕たちは進歩を止め、未来への扉を閉ざすことになる」と言っている。
 この監視システムをどう理解するか、私の結論部分だが、これはテロ・安全対策ではなく、NSAの監視システムに特化して言えば、アメリカの圧倒的・一方的な優位、イラク戦争を始めるときにユニラテラルという言葉が使われたが、アメリカ外交の仕方が一方的、異なる意見を聞かない、ユニラテラルな優位を維持し、なおかつ強化するための監視システムではないか。
 

「ターゲット・トーキョー」で日本政府は被害者だが、メルケル独首相、ブラジルのルセフ前大統領、オランド仏大統領らも盗聴されていた。同盟国だろうがなんだろうが、乱暴な言葉だが、やらずぶったくり、交換する物はない。一方的に取っていく、収奪していくシステムだ。 そういうシステムはそれで終わりではない。スノーデンの言った「特定秘密法は実はアメリカがデザインしたもの」というのは私が一番驚いたことで、これまであまり話されなかった側面かもしれないが、NSAのシステムから取られた情報と交換することが可能になっていく。
 スノーデンは、「これはNSAが外国政府に圧力をかける常套手段だ。『自分たちの諜報活動で有用な情報が取れたが、法的な後ろ盾がなければ継続できない』と外国政府に告げる。『これを合法化する法律ができれば、もっと機密性の高い情報が共有できる』と持ちかけられれば、相手国の諜報関係者も情報が欲しいと思うようになる。こうして秘密は増殖し、民主主義を腐敗させていく」と話した。


 NSAが日本の市民に関して集めた情報を日本の諜報機関に渡すことができるし、日本の諜報機関もまた、日本の諜報機関である警察や自衛隊が集めた情報をNSAに渡すことができる。
 このようにより大きな世界的な監視システムに積極的に関与していく。今後、日本政府がアメリカの監視システムの共犯者となっていく性質がより強まっていくのではないか。これは、日本の私たちにとって最悪のニュースで、日本政府に見張られるだけでなく、その情報がアメリカのどこに行っているかも分からない、アメリカに見張られてその情報が日本にくるかも分からない。