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 2017.02.21
不屈の闘い続く沖縄
問われる本土


              
 政府「着工」で諦め狙う


 辺野古のオジイ・オバアたちが「命を守る会」を立ち上げ、座り込みを始めて20年。守り通してきた辺野古・大浦湾に、自然破壊と軍事化の危機が迫る。2月5日、海上保安庁が厳戒態勢をとるなか、大型掘削調査船ポセイドン、コンクリートブロックを積んだ大型台船2隻、クレーンを搭載した作業船2隻が続々と大浦湾に集結した。
 沖縄防衛局は、7日には汚濁防止幕設置のためのブロックの海中投下を始めた。今後その数は228個に上る。沖縄県の中止要求も無視したまま、ゲート前では機動隊、海上では海保「海猿」が、抗議する市民らを暴力的に排除する。「海上本体工事着工」とうそぶく政府・沖縄防衛局の意図は、既成事実化による県民の「諦め」だ。

* 今起きているのは、「沖縄の基地負担軽減」「法治国家」とは真逆の事態。昨年末の判決も、翁長雄志知事の埋立承認取消に対する法的判断であり、政府に次の「新基地建設のフリーハンド」を与えたものでは決してない。
 第一に、辺野古新基地建設、高江オスプレイパッド建設、伊江島補助飛行場大幅改修など本島北部への米軍基地機能の集中・高度化である。辺野古新基地では、昨年12月、墜落事故を起こしたオスプレイが100機が運用される予定だ。併せて沖縄本島、宮古、石垣、与那国へは自衛隊配備も進められている。「基地負担軽減」と称して進んでいるのは、沖縄の軍事要塞化と県民への一層の基地被害の強要である。
 第二に、3月末に期限が切れる岩礁破砕許可の知事権限や、工事用仮設道路・美謝川切替えに関する名護市長権限の無力化に狂奔していることだ。沖縄防衛局は昨年11月辺野古漁協と極秘裏に協議し、6億円を支払うことで関係水域の漁業権を放棄させた。海洋資源の管理や沿岸水域の保全は、事情を知る地方自治体の権限。放棄をもって勝手に工事を進めるなど、法の趣旨に対する冒涜だ。
 また、埋立土砂の外決まっていない。本体工事への着手など「法治国家」として論外と言わねばならない。

* 2月7日付『沖縄タイムス』社説は「沖縄の戦中・戦後の歴史体験に触れることなしに、新基地建設反対運動を深く理解することはできない」と指摘する。
 「オール沖縄」の基底には、この歴史体験がある。何より辺野古・高江を訪ね、一人でも多くの人にその現場を体感してほしい。
 そして「本土」に顕在化した辺野古に立ち向かおう。オスプレイ関連の動きは、木更津、横田、岩国、佐賀はじめ全国に広がる。辺野古埋立土砂は、西日本各地から搬出される。再び本土機動隊の沖縄派遣を許してはならない。東京MXTVによる沖縄ヘイトを許さない。大成、五洋、JFEなど受注企業への抗議。重大局面を迎えるなかで「沖縄統一署名」のいっそう広範な呼びかけなど、やれることはいくらでもある。  沖縄との連帯を結び直すことができるか、「本土」の運動こそが問われている。(毛利孝雄)