2017.04.04
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その実態 |
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軍民両用研究に助成
17年度予算は前年の18倍にも
九条改憲へひた走る安倍晋三内閣は、安全保障環境の厳しさを口実に軍事国家化を急速に進めている。その標的になっている大学などの研究機関と軍事の関係を検証する。
大学などの研究機関が、軍事にも民生にも使える軍民両用技術(デュアルユース)を研究開発するために防衛省が総額110億円を提供・助成することなどを盛り込んだ2017年度予算は、3月27日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。
次々に方針を決定
防衛省から大学などへの16年度の助成費は、6億円だった。今年度の110億円はおよそ18・3倍。研究資金の提供制度が導入された15年度が3億円だったから、その急速な膨張は、安倍内閣の軍事国家化の姿勢を象徴的に示している。
研究1件当たりの提供額も、15年度と16年度は、最大で年間およそ4000万円だったが、新年度予算では最大、5年間で数十億円規模とすることが計画されている。
安倍内閣が4年前の2013年に閣議決定した「防衛計画の大綱」は、安全保障環境が厳しくなる中、防衛力を支える基盤を強化するため、「大学や研究機関との連携の充実などにより、防衛にも応用可能な民生技術の積極的な活用に努める」として、大学などとの連携を強めていく方針を掲げている。
そして、14年には「武器輸出三原則」を撤廃、軍需産業をアベノミクスの中核に位置付ける「防衛装備移転三原則」を閣議決定と軍事国家化へ矢継ぎ早に方針を決定した。
さらに安倍首相が議長を務める政府の総合科学技術・イノベーション会議は、国家安全保障と科学技術に関する検討会を設置、デュアルユースの研究推進に向けて本格手な議論を始めている。「科学技術政策の司令塔」である同会議は予算配分方針を決めるが、安全保障を主題とするのは初めてという。
一方、日本経団連も戦争法強行採決直前の一昨年9月15日、「防衛産業政策の実行に向けた提言」で「大学との連携強化」を打ち出したことも注目しておかなくてはならない。
防毒マスク軽量化
こうした中、これまでに大学や研究機関などから153件の応募があり、19件の研究が採択された。このうち大学からは81件の応募があり、9件が採択されている。
その中の一つに豊橋技術大学の加藤亮助教が行った防毒マスクの軽量化につながる「ナノファイバーを利用した有毒ガス吸着シート」の開発が防衛省の一昨年度の資金援助制度に採用され、475万円を獲得している。豊橋技術大は日本学術会議の大西隆会長が学長を務めている。
米軍からの助成も
一方で日本政府以外にも米軍から、日本の大学などに08年から16年までの9年間に少なくとも135件、総額8億8000万円に上る研究助成が提供されていたという。助成金の交付は大学本体以外にも関連のNPO、ベンチャー、学会などにも行われており、米軍からの研究助成が広がりつつある実態が明らかになっている。 |
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