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 2019.02.19
市民ら17人が今治市を提訴
私有地使用料60万円を徴収せよ

 学校法人加計学園(岡山市)が昨年4月3日、今治市に開設した岡山理科大獣医学部(愛媛県今治市)をめぐり、学園から市有地使用料を徴収しなかったのは違法だとして、市民団体「今治市民ネットワーク」のメンバー17人が1月24日、松山地裁に住民訴訟を起こした。
 訴状によると、国家戦略特区の事業主体募集(2017年1月4日)前の16年に学園が学部建設を予定していた市有地を約3カ月間ボーリング調査した際、市の規則に反して無償で使用許可を出したことなどを「市に損害を与えた」と主張。学園側からの使用料約60万円の徴収などを、市に求めた。

 今治市民ネットは昨年10月、同じ趣旨で住民監査請求をしたが、同12月に「請求期限を過ぎていた」として却下されている。

 原告団は、提訴について次のように指摘・問題提起している。

 そもそもの始まりは、15年2月25日、安倍晋三首相と「腹心の友」である加計孝太郎氏が面談し、「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と首相が言ったことからスタートしている。同年4月2日愛媛県、今治市が加計学園の引率で首相官邸に呼ばれ、これがキックオフとなる。

文科省への圧力加速
 大学の設置・許認可するのは文科省で獣医学部新設へ一気に攻勢がかかったのは16年8月から。「特区諮問会議の決定に従えばいい」、9月には「総理は自分の口から言えないから、私が代わって言う」「官邸の最高レベルが言っている」「もっと激しいことを言っている」。

 10月には「総理は平成30年4月開学とお尻を切っていた」「開設時期は動かせない。これは総理のご意向だと聞いている」と、当時の前川喜平文科省事務次官や局長に対して、首相秘書官や官房副長官が「忖度」と言う名の攻勢をかける。

 丁度この時期に今治市では、加計学園が今治市の土地の事前調査・ボーリングを行った。申請当日に許可される。内容は加計学園が作成した申請用紙に、ご丁寧に回答書も作成して無償になる。

記憶にも記録もない 
 昨年5月21日に愛媛県文書「備忘録」が出される。これに慌てた加計学園は、5月26日に「虚偽」と釈明、愛媛県と今治市に謝罪。6月19日と10月7日、加計理事長が記者会見し、「職員が勝手にやった」「勇み足で誤解を招いた」、安倍首相との面会については「記録がないので会っていないと思う」と発言。

 初めから「加計ありき」で進めているにも関わらず「加計隠し」。行政を歪めてまでも、加計孝太郎のために、加計学園に獣医学部を作らせる。つまり国政の私物化である。

 こうした経過で作られた「加計ありき」を「許せない!」と、今治市民は裁判に訴えた。