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  4. 2019.04.16

国民投票法の改定案テコに安倍首相ら執念
憲法審 再開策す

 統一自治体選後半と衆院2選挙区の補選は4月21日の投票で終了し、4月末から5月初めの天皇代替わりの一連の行事が終われば、国会は6月26日の会期末に向けて議員・政府提出の法案審議が山場を迎え、参院選に向けた動きが一気に加速する。

 会期末直後の28、29の両日には大阪で20カ国・地域首脳会議(G20)もあるが、衆参同日選の可能性も消えてはいない。

 こうした中で安倍晋三首相と、首相の意を受けた自民党改憲本部の下村博文本部長、衆院憲法審査会の森英介会長、新藤義孝筆頭幹事らが執念を燃やしているのが、国民投票法改定案の審議入りをテコに審査会を動かし、憲法9条に自衛隊を位置づけることなど4項目の改憲案を審議の俎上に乗せ、改憲発議にこぎつけること。

 安倍首相は年明け1月5日、地元・山口県下関市での後援会会合で「本年は平成最後の年であると同時に、新しい時代の幕開けとなる年でもある。平成のその先の時代に向けて、憲法改正を含め新たな国づくりに挑戦していく1年にしたい」と改憲に向けて改めて決意表明した。

 今国会冒頭の施政方針演説では、「憲法は、国の理想を語るもの、次の時代への道しるべ。子や孫の世代のために、日本をどのような国にしていくのか。大きな歴史の転換点にあって、この国の未来をしっかりと示していく。国会の憲法審査会の場において、各党の議論が深められることを期待する」と述べた。

 「憲法は、国の理想を語るもの」などという誤った認識の安倍首相に憲法を語る資格はなく、改憲への言及は憲法尊重・擁護を定めた憲法99条を意図的に踏みにじっているのである。

 さらに安倍首相は3月17日、防衛大学校の卒業式で「次は、私たちが、自衛隊の諸君が強い誇りをもって職務を全うできるよう環境を整えるため、全力を尽くす」と訓示した。

 「改憲」の言葉は使わなかったが、憲法9条に自衛隊の根拠規定を書き込むことに強い意欲を示した。憲法99条違反であることは言うまでもない。

 このように違憲発言を繰り返す安倍首相の意を体して衆院憲法審の森会長は、3月28日に続いて4月3日にも野党の意見も聞かずに職権で幹事懇談会の開催を決めたが、当然開かれなかった。

 憲法審査会を開いて議論しようと言うのなら、度重なる安倍首相の憲法蹂躙発言を取り上げ、三権分立を平然と侵す言動を徹底的に糾弾することだ。それ以外に、「熟議による合意形成」を掲げる審査会の「正常化」はありえない。

 一方、超党派の国会議員らでつくる「新憲法制定議員同盟」(会長=中曽根康弘元首相)は4月23日、東京・永田町の憲政記念館で「新しい憲法を制定する推進大会」を開く。自民党など主要政党の幹部や経済界の代表らが出席する予定。八木秀次麗澤大教授の講演、雅楽師の東儀秀樹氏の演奏も予定する。