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  4. 2019.09.24

敵対的行為を直ちに止めろ
韓国は「敵」なのか

東京で緊急集会
 安倍内閣が8月2日、韓国を「ホワイト」国から除外する政令を決定したことに端を発する日韓関係の緊張に対して内田雅敏弁護士はじめ78人が声明を発した。それは8月30日現在、賛同者は9375人に上った。そして、31日、東京都内で韓国は「敵」なのか?輸出規制を撤回に 対話で解決を?緊急集会を開いた。

 集会は「韓国は『敵』なのか」声明の会が主催し、急きょの集会にかかわらず400人が集まり、開会30分前には満員となって、座席が足りなくなる状態だった。

 集会は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の菱山南帆子さんの司会で始まった。

 最初に主催者を代表して、雑誌『世界』元編集長の岡本厚さんが挨拶した。

 岡本さんは韓国の東アジア平和会議署名者67人が出した8・15 74周年特別声明「韓日関係の危機を乗り越え東アジアの平和へ!」で、私たちが出した声明に共感し、日本政府もその問いに正面から答えるように期待する、と論じていると報告した。

 第一部は「今何が起きているか」と題して、弁護士の内田雅敏さん、東大名誉教授の和田春樹さん、東洋経済新報社の福田恵介さん、東大名誉教授の板垣雄三さんが講演した。

 休憩後、署名に賛同した慶応大学名誉教授の金子勝さん、日本キリスト教協議会総幹事の金性済さん、精神科医の香山リカさん、青山学院大学教授の羽場久美子さん、一橋大学准教授の権容奭さん、詩人の佐川亜紀さん、法政大学教授の山口二郎さん、共同通信論説委員の柿崎明二さんらが、「私はこう考える」と各々の分野から、安倍内閣の対韓政策の問題点を指摘した。

韓国大法院判決について(要旨)内田 雅敏さん 
 韓国大法院判決には、65年の請求権協定では植民地支配に基づく強制労働の慰謝料請求権の問題は入っていない。請求権協定で放棄されたのは国家の外交保護権であって、個人請求権そのものは放棄されていない。

 それらは従来からの日本政府の見解そのもの。椎名外務大臣答弁「無償3億ドルは独立祝金であって、植民地支配の清算金ではない」、外務省柳井条約局長答弁「放棄は外交保護権であって、個人の権利は放棄されていない」としている。 

  付言による解決 前記最高裁判決は中国人受難者、遺族からの賠償請求については棄却したものの、判決に「被害の重大性を考えると当事者間の自発的解決が望ましい」と付言。それ以前の2000年11月に鹿島建設(花岡事件)和解が成立しており、中国人強制労働事件では日中共同声明という国家間の合意の修正、補完がある。

 日本政府はこれらの和解に異を唱えていない。

安倍首相と韓国・北朝鮮(要旨)和田 春樹さん
 安倍氏は5年間の雌伏の後、12年9月の総裁選に勝利。

 安倍政権は2015年の外交青書において、韓国について「基本的な価値と利益を共有」という文言削除。

 18年秋には、米朝交渉が難航する中で、韓国文在寅大統領が南北の接近を強め、事態を改善しようとした。安倍首相は文大統領への反感を高めた。

 10月以降、徴用工訴訟での大法院判決、慰安婦問題15年合意に基づく治癒財団の解散、韓国海軍艦船からの自衛隊機に対するレーダー照射問題、政府は強硬な反発。
 6月末の大阪でのG20の会議で、韓国の文在寅大統領だけ完全無視。直後、トランプ・金正恩第2回首脳会談実現。安倍首相、米・韓のすすめる平和プロセスに反対へ、韓国相手にせずの決断へ。

 大事なのは米国と中国、米国との同盟の強化と日中関係の安定的維持を主張。安倍氏の韓国相手にせずの行きつくところは平和国家日本の終わりである。