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中東派兵は9条違反だ《3》
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「調査・研究」の派兵から 戦争法の発動→改憲へと
声明を捕捉する形で3点、発言したい。1点目はやり方、2点目は憲法との関係、3点目は、ではどうするかという観点から。
1点目は、防衛省設置法にある「調査・研究」という、本来この規定から中東まで出せるはずがない法的根拠で出すこと。
湾岸戦争の際の掃海艇の派遣、その後のとにかく自衛隊を海外に出したいということでPKO法を作った、あるいは特措法を強引に作ってアフガン戦争での「支援」、イラク戦争後のイラクへの派遣というように、とにかく自衛隊を出して実績を作りたいということをやってきた。
その延長線上に今回の派遣がある。
そして、「調査・研究」で出しておきながら、何かあった時に「戦争法」で規定された集団的自衛権の行使ができてしまう。そういうなかで、安倍政権のもとで憲法9条をとにかく変えたいという動きがあり、改憲の議論に結び付きかねないという問題がある。
憲法上の問題で言えば、戦争法はそもそも9条に反するわけであって、その発動も起きかねないという意味でも問題がある。
では、本来どうすべきかだが、憲法は「国際協調主義」を掲げ、9条が典型であるように「軍事によらない平和」を追求している。
そうであるなら今回、アメリカが一方的に「イラン核合意」から離脱してアメリカ・イランでの緊張が起きているが、日本政府がすべきことは、両者の間に入って話し合いで解決することだ。さらに安全保障問題を考えた場合、歴代の自民党政権は、国家の安全保障、そして軍事の安全保障を考えてきた。
例えば、1970年代、2度のオイルショックを受けて、これからの安全保障は軍事だけではない、政治・経済・文化、いろんな観点から安全保障を考えるべきだという総合安全保障論が財界や自民党から出てきた。
とくに80年代の中曽根政権の時に総合安全保障論を追求して、例えば国家の枠組みについてもアメリカの国家安全保障会議をモデルにして「安全保障会議」を作った。
私は総合安全保障論には批判的で同じ言葉は使いたくはないが、総合的な安全保障を考えた場合、本当に軍事だけでいいのか。例えば、この間の政府の政策によって食料自給率は37%まで落ちた。
食糧安保という観点からすると、日本の食の安全保障は非常に危うい状況になっている。あるいはこの間の台風15号、19号によって膨大な被害が出ているが、自然災害からの安全保障を考えなければならない。
先日亡くなった緒方貞子さんが言ってきたことは、「人間の安全保障」だ。国家の安全保障だけではない、人間の安全保障、あるいはそれ以外の安全保障についても考えていかなくてはならないのではないか。そうした観点からも、とにかく自衛隊を出したい、戦争になりかねないやり方は問題がある。
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