新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 憲法/平和
  4. 2019.12.24

憲法研究者の発言
中東派兵は9条違反だ《4》

平和的生存権はすべての人に
 
2点言いたい。
 声明に、「今回の自衛隊派遣は、自衛隊の海外派遣を日常化させたい日本政府が、アメリカからの有志連合への参加呼びかけを『渡りに船』で選択したもの」とある。

 この間の報道には、「渡りに船」ではなく、「日本が板挟みになっている」、あるいは、「アメリカの強い要請があるが、イランとの関係もあるので、有志連合とは一線を画している」というものがあるが、そうではないのではないか。

 アメリカにとって自衛隊の派遣は、自衛隊の海外出動を日常化させるという意味で国益になるし、自衛隊の軍事的な面を加速させたい日本政府にとっても実績を積むという形で行うのではないか。

 国会が関与できないような、組織法の防衛省設置法にある「調査・研究」という、言わばマジックワードを使ってやろうとしている。自衛隊法に基づくべきで、組織法と実体法を区別すべきだ。

 どういう形で、どれくらい、どういうものを出すのか、出された自衛隊がどういう「調査・研究」をするのかということについて、一切議論ができない形にしているのは非常に大きな問題。今こそ国民的な議論が必要だ。

 もう1点は、声明の最後で、この自衛隊派遣は、「自衛隊員の生命・身体を徒に危険にさらすことも意味する」としていること。

 誰のための平和主義なのかということを考えると、国家の安全保障のコマのように使われて出されていく自衛隊員にとって大変な問題だ。平和に生きる権利はすべての人に保障されているはず。

 国家の安全保障ではなく、一人ひとりの生命や生活、自衛隊員の生命や生活を危険にさらすようなことに声を上げていきたい。

 =おわり(発言は11月1日の「声明」発表の際の記者会見での要旨です。「声明」全文は「憲法ネット103」のHPを参照ください。「発言」の文責は編集部)