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  4. 2020.06.09

「留保・配当」労働者に
解雇禁止の法整備

政府に二度目の提言 -非正規全国会議-


 大学教授や弁護士などでつくる「非正規労働者の権利実現全国会議」(代表幹事・脇田滋龍谷大学名誉教授など)は5月7日、政府に二度目の提言を提出した。提言は、500人超のフリーランスなどを含む非正規労働者からのアンケート結果を踏まえ、①政府が解雇・雇い止め禁止を宣言し、諸外国のように一時的に解雇を無効とする法制度を創設すること、②大企業の内部留保金や株主配当を一時的に禁止した資産を働く人々の保護に活用することなど、5つにまとめられている(別記参照)。

 提言の説明では、「使用者に安易な解雇をさせないよう、雇用維持を断固たる政策として、労働者と中小零細事業者への支援と合わせて実行する姿勢を示すべきです。こうした観点から、雇用調整助成金の補償額も現行制度を大きく上回る運用とすべきです」と述べ、一時的に解雇を無効とする法制度については諸外国の事例を紹介し、おおよそ次のように提言している。 「イタリアでは、自営業者、公演芸術家、農業労働者などを対象に約83万円の支援策を打ち出しています。法律には発効の日から60日間立法措置によって解雇を許さない政策を実施しています。日本においても、働く人々の仕事と生活を維持するために解雇を無効とする新たな立法措置を早期に講じるべきです」。

 政府への提言では企業活動への規制について、「欧州中央銀行はユーロ圏の銀行に対して少なくとも10月までは配当を実施しないように求め、自社株買いも中止を要請しました」と事例を紹介し、わが国も株主配当の一時的中止や「人件費への還元が十分にされていない」大企業の内部留保などの企業資産を、「働く人々の生活と就労の保護に活用すべきです」と、フリーランスなどを含む労働者の立場に立った政策を提起している。


コロナ禍で雇用が悪化
 新型コロナウイルスによる雇用悪化が本格化してきた。総務省が発表した4月の労働力調査では、派遣労働者やアルバイトなどの非正規雇用者数が3月に比べ131万人減少。前年同月比では97万人減少した。休業者数は前年同月から420万人も多い597万人と過去最多を記録した(図)。

 このように雇用情勢が悪化しているのは、政府の救済策が後手後手に回っているからだ。600万人の休業者は「失業者予備軍」とも言われており、さらに解雇や雇い止めが増加する恐れがある。