2020.01.14
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「教育の人」が初代の元首だった |
ロベルト・サモラ弁護士講演 |
「コスタリカの奇跡」というが、奇跡ではないコスタリカの話をしたい(注 ロベルト弁護士の講演の前に映画『コスタリカの奇跡』が上映された。映画は軍隊を廃止し、軍事予算を社会福祉に充てる道を選んだ国の歩みのドキュメンタリー)。
なぜ、奇跡ではないと言うかというと、歴史が私たちにもたらしたものだということだ。とりわけ平和に対する教育、平和についての文化を人びとの中に広げたこと、その結果だと思う。
コスタリカの歴史は、スペインから独立した1821年(9月15日)の歴史からスタートしたい。
独立の時にコスタリカは、そのほかのラテンアメリカとは違う決定をした。コスタリカ以外のラテンアメリカの国々は、独立後の大統領はすべて軍人だった。コスタリカはそうではなかった。
最初のコスタリカの元首フアン・モーラ・フェルナンデス(1825年就任)は、学校の先生だった。
コスタリカ以外の国家元首が「戦争の人間」だったのに対し、コスタリカは「教育の人間」が初めての国家元首になった。そうした意味でコスタリカは、他のラテンアメリカの国々とは違った発展の道を進んだ。
コスタリカの歴史を見てみると、たくさんのエピソードがある。面白いものもあるし、大変なこともあった。
ロベルト・サモラ弁護士は昨年11月28日に来日、沖縄・那覇市を皮切りに福岡、奈良、大阪、神戸、東京で講演し、12月8日に離日した。
東京では、6日に「戦争させない・9条壊すな!総がかかり行動実行委員会」が開いた集会「9条は世界の希望―武力によらず平和をつくる―」をはじめ大学などで講演した。
ロベルト・サモラさんのプロフィール
1980年生まれ。弁護士としてコスタリカのエレディス市に事務所を置き、憲法や人権問題などで活動する。コンピュータ科学の学生だった2000年、通信・電力の民営化問題のストライキに関わったことからコスタリカ大学法学部に移籍。
大学3年(22歳)の2003年、パチェコ大統領が米英主導のイラク侵攻を支持したのは憲法違反と訴えた。最高裁の憲法小法廷は、決定は憲法違反・無効として有志国連合の参加リストからの撤回を命じた。
在学中から日本でも講演し、平和憲法支持者の研究事例に。その後の来日中に、核燃料と原子炉の製造を承認したアリアス大統領の決定は違憲と提訴。憲法小法廷は、決定を「平和への権利」と健全な環境への権利に反するので無効とした。
さらに、警察が法律で禁じられた武器を市民に使用することを承認するアリアス大統領決定の無効を最高裁で勝ち取る。また、人権や軍縮問題の国際会議でパネリストとして発言するなど、国際的にも活躍している。 |
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