新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 憲法/平和
  4. 2020.02.04
 2020.02.04
平和が文化になった国 コスタリカ
国際司法裁判所に訴え侵攻阻む
ロベルト・サモラ弁護士講演

 
2006年のことだが、オスカル・アリオス大統領は「米国製の原子力発電所の原子炉を容認する」という決定を行った。ノーベル賞を受賞したオスカル・アリオス氏だが、問題はあると思う。

 大統領の「原子炉容認」発言の時、私はちょうど日本に来ていた。大学生でまだ卒業もしていない中で卒業論文を書いている時だったが、アリオス大統領に要求した。

 「反核」という要求に最高憲法裁判所は08年、判決を出し、「核兵器を禁止するだけでなく、工業的な核も禁止する」とした。この時の私の主張は、コスタリカの歴史を見れば、国際的な義務として平和に対する権利というものを憲法に入れてある、これが私の基本的な主張の根拠だった。

 この時、コスタリカの最高憲法裁判所が初めて認めたものは、コスタリカ人だけでなく全ての人の平和への権利だ。こうした活動を通じて私は、幸せということもあるし、本当の仕事も大変だった。努力も大変だった。しかし、これからも続けていくという気持ちを持っている。

 ニカラグアが2010年にコスタリカに侵入するということがあった。私たちには自分を守るための軍隊はない。この侵攻をどのようにして止めたか。国際司法裁判所に訴え、勝利した。ニカラグアは退却しなければならなかった。

 この時死んだ人は誰もいない。放たれた銃弾も一発もない。戦場もなく、1ドルの消費もなかった。そして私たちはこの侵攻を食い止めた。

 私たちは今日、『コスタリカの奇跡』という映画を観たが、これは「奇跡」ではなくて、歴史の中における適切な時期における重要な決定をすること、またその結果であったということがご理解いただけたらと思う。

 私が最初にイラク戦争に反対した時に、多くの先生たちが「ロベルトは負けるのではないか」と言ったが、私はこうして今日に至っている。

 私は勝訴したが、負けたらどうなったか。負けたからと言って、あまり関係ない。やっぱり勝ったのだ。コスタリカの最高憲法裁判所は、平和への権利を認めている。そして、コスタリカでは核兵器を禁止し、工業的な原子力の禁止も判決として出ている。裁判に訴える時、負ける可能性はある。

 私の母は教師をしている。コスタリカの独立後の最初の大統領は学校の先生だった。そして、その歴史の流れの中で平和に対する権利というものが、裁判所から出ているということ、そしてそういう先生たちが今、たくさんいるということが現実だ。

 従って、学校の先生は兵士よりも重要だし、教育は軍備よりも重要だということだ。