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 2020.02.18
平和が文化になった国 コスタリカ
9条が示す21世紀の安全保障の形
ロベルト・サモラ弁護士講演

 
ロベルト・サモラ弁護士の講演「軍隊を持たない国の暮らしと教育」は昨年12月6日、東京都内であった。

 講演は、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が主催した「映画とトークの夕べ『9条は世界の希望―武力によらず平和をつくる』」で行われ、最初に「改憲問題対策法律家6団体」事務局長で「総がかり行動実行委」運営委員の大江京子弁護士が主催者挨拶した。

 連載の最後に、大江さんの話(要旨)を、時間などを訂正しないで掲載します。

 安倍首相は今年の夏の参院選挙の後も、「必ずや憲法改正をなし遂げる」と強い執念、意欲を表明している。首相が目指す改憲の最も重要な眼目は、9条改憲。9条に自衛隊の存在を明記し、そのことによって9条2項は事実上廃止されたと同様の効果を持つことになる。

 安倍首相はこのように日本が長く歩んできた平和国家の道、その「道しるべ」である憲法9条を壊し、また、改憲に先立って自衛隊を中東に派兵しようとしている。このような中で、安倍首相、そして改憲を目指す人たちが言うのは、軍事力による国家の安全、軍事同盟強化による国家の安全を目指すべきだという考え方だ。

 これに対して軍事力によらない平和、軍事力によらない人間の安全保障をめざす国家の理想を70年以上にわたって、1947年施行された日本国憲法が、その「道しるべ」を示している。それが憲法の平和主義であり、9条の価値と言える。

 いま、軍事力によって平和を守ることができないということは、実証済みではないか。軍事力ではなく、非軍事によって国の安全を保障する、あるいは国の安全ではなく、そこに住む人々の安全を保障する、人間保障の考え方、それをいち早く憲法の形で示したのが日本国憲法9条であり、平和主義だ。

 日本国憲法は日本の平和のみならず、全世界の国民が恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存できる国際社会を目指す。日本国憲法は平和の問題を個人と生存と人権の問題、平和的生存権の問題と捉えている。まさに創造的で画期的な人間の安全保障の先取りを示した21世紀の安全保障の形を示すものだ。

 その憲法9条なり、平和主義が今、安倍政権によって激しく叩かれ、壊されていく瀬戸際にある中で、四国と九州を合わせたくらいの面積で人口も少ない国が実践してきた軍事力によらない平和な国家作り、軍事費に回す予算を、人間のために、国民のために、幸福追求のために使う。2016年に幸福度ナンバーワンになった国の実践を学びたい。

 ロベルトが弁護士として守り、実践している貴重な話が聞ける。ロベルトの話を聞くことで9条が時代遅れでない、時代遅れどころか、本当に先駆けた21世紀の安全保障の形を示す価値をもったものだということを、改めて知ることができるのではないか。