総務省が7月12日発表した2012年の就業構造基本調査によると、非正規雇用労働者が初めて2千万人を超え、雇用労働者の40%に迫る2042万人に増加し、初めて2千万人を超えた。雇用者全体に占める割合は38・2%に増えた。
1995年に経団連が発表した「新時代における日本的経営」は、それまでの「終身雇用・年功序列賃金」を大きく崩した。1990年代後半から有期雇用は加速した。企業は生産性の減少を総額人件費削減に目を向け、雇用形態の合理化を強行してきた。その結果が非正規雇用労働者の増加である。
安倍晋三首相は、成長戦略で「60万人の雇用を増やした」「10年で1人あたりの所得を150万円増やす」「最低賃金を10円以上引き上げる」などアドバルーンを上げ、アベノミクスの成果を訴えているが、2千万人を超えた非正規雇用に何ら応えない。
豊田章男自動車工業会会長(トヨタ自動車社長)は11日の定例記者会見で、国内での設備投資や従業員の給与アップに対し、慎重な姿勢を見せた。「円安で自動車メーカー各社の業績は上向いているが、収益改善の恩恵が賃金などに反映されるには時間がかかる。生産拡大に向けた設備投資は困難」と言い切り、「臨時雇用中心の雇用を守ることが精いっぱい」と言い、非正規雇用の「正当性」を主張している。
25日、「大手企業30社が利益のうち賃上げなどに回さず社内にため込んだ内部留保の総額は2013年3月末までの1年間で約6兆円増え、総額77兆6435億円に上った」ことが共同通信から報道された。とくに大手銀行の増加率は軒並み2桁増と急拡大した。看板の経済政策「アベノミクス」によるデフレ脱却を目指し、賃上げを求める安倍首相の掛け声とは裏腹に、大手企業の利益ため込みはさらに加速している。 |