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急遽、朝の集会に全労連、全労協、中小ネットらがかけつけた |
昨年、派遣法改定時の付帯決議により設置された「今後の労働者派遣制度のあり方に関する研究会」が8月20日、報告書を提出した。それは日本再興戦略の閣議決定・政府方針や経団連の提言に引きずられ、派遣労働の規制緩和を全面展開しようとするもの。
これを受けて、厚労省労働政策審議会労働力需給制度部会が開かれた8月30日、全労連、全労協、中小ネットなどが、「労働者派遣法、全面改悪を許すな!」と朝から厚労省前で集会を行った。
解説
派遣労働の規制緩和は、安倍首相の成長戦略に盛り込まれている。労働者派遣法は、これまで何度も改悪がされてきたが、通訳や秘書など専門的な26の業務以外は、企業が派遣を受け入れられる期間を原則1年(最長3年)としその後は禁じていた。
しかし、8月6日、厚労省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」は、改悪した内容で、派遣元からの派遣労働者を別の人に代えれば、業務を続けられるとした素案をまとめた。
派遣労働者が派遣元と無期限の派遣契約を結んでいれば、派遣期間は制限されないが、現実的には例外だ。
現在、約110万人いる派遣労働者のうち、これに当たるのは2割に満たない。大半は最長3年で派遣先から追い出される。政官財がタッグを組み、企業の論理で労働者を都合良く雇用し、勝手に解雇できる制度になっている。
今回の最終報告案にある労働者派遣制度の見直しは、派遣元と無期契約を結んでいる場合は、働く期間に制限はなく、同じ人が派遣先でずっと働くことができる。ところが、実際の職場では、契約社員、嘱託社員などといった非正規の有期の契約で雇用されている人が多い。無期で雇用されているのは、ベテランか会社幹部を務める一握りに過ぎない。法改悪ではどうなるか。
1つの派遣先で働き続ける3年の上限を過ぎれば、別の派遣先に移る必要が出てくる。現場の仕事はいつも人を募集しているわけではないので、仕事が見つからなければ失業してしまう。制度が変わったからといって、派遣元の会社が急に無期雇用を増やすかといえば、そうはならない。それでなくとも総額人件費削減ばかりを追求する企業が人情味ある雇用など守らない。
今回、厚労省の研究会がまとめた最終報告案は、安倍政権の肝いりで進められたものだ。
昨年、民主党政権の下で労働者保護をやや強化する方向で法改正された。これに対して経済界の猛反発があり、安倍政権が丸呑みする改悪を明記し、6月の成長戦略にのせた。労使双方の代表も議論の中に入る労働政策審議会で話し合い、年明けの法改正という手続きは踏むことになるが、国会のねじれがなくなり、衆参両院で与党安定多数ではこれらの手続きも形式的なものになる危機が迫っている。
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