過労死防止法成立の要 社会の歪みを正す法律に
過労死防止や労働者の地位向上に貢献した人々を表彰する中島富雄賞(龍基金)授賞式が8月10日、東京都内で行われた。受賞したのは関西大学名誉教授の森岡孝二さん(過労死防止基本法制定実行委員会委員長)。第二部の記念講演を「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉さんが行った。
「過労死をなくそう!龍基金」は04年にスカイラークで過労死した中島富雄さんの遺族が設立したもの。
授賞式では中島晴香さんが主催者挨拶を行い、須田光照事務局長が、ワタミ裁判闘争を軸に、この間の闘いの経過を報告した。ワタミ遺族の森豪、祐子夫妻も決意を明かにした。
受賞に至った森岡さんは、「過労死―働きすぎ社会の告発」「過労死は何を告発しているか―現代日本の企業と労働」を著し、過労死の社会問題化と防止運動に取り組み、過労死弁護団全国連絡会議や全国家族の会とむすび、過労死防止基本法の制定に取り組んできた。
「学会の表彰は興味がなかったが、このたびは社会活動家の医師、弁護士、遺族の主婦活動家など実行委員会の代表として喜んで受賞した」「今後は企業、労働組合の当事者責務を明らかにして、過労死防止推進センター設立に向け奮闘する」「過労死防止基本法(過労死等防止対策推進法)は社会運動が議員と国会を動かして労働分野の最初の法律で、日本社会システムとライフスタイルの歪みを正す法律にしたい」と挨拶した。
「生きる権利を守る」と題して記念講演した辛淑玉さんは、韓国セヴォル号沈没事件、バイトテロ、「黒子のバスケ」脅迫事件などを例にとりながら、仕組まれている自己責任の罠、命の選別が行われる政治を糾弾した。最後に映画監督の伊丹万作氏の「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」を紹介して、騙されてはいけない、騙されないように、と結んだ。
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