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2014.9.09
JAL行政訴訟
不当労働行為を認定

  


 2010年末のJALの整理解雇事件で、日航乗員組合、JALキャビンクルーユニオン(CCU)の反対闘争のスト権投票の際、管財人らの組合介入発言が、都労委で不当労働行為と認定された。これを不服として日航が東京地裁に提訴していたが8月28日、東京地裁(古久保正人裁判長)は、提訴を棄却し、企業支援機構、JALの不当労働行為を認定した。


 2010年9月27日に企業再生中のJALは整理解雇の人選基準を発表し、退職強要の面談を始めた。これに対して乗員組合とCCUは「なんとしても整理解雇は回避すべき」と要求。これに対し会社は2010年11月、整理解雇に反対する争議権確立のためのスト権投票を実施していた乗員組合とCCUの執行部を呼び出し、企業支援機構ディレクターと管財人代理が組合執行部に「争議権が確立したら企業再生支援機構は(JAL再生のための)3500億円の出資をしない」と発言した。これは「争議権を確立したらJALを破綻させる」ということを意味していた。
 この発言は職場に大きな混乱をもたらし、先に始まっていたCCUは争議権を確立したが、乗員組合は投票中止に追い込まれた。
 同年12月8日、両組合は東京都労働委員会に不当労働行為救済申し立てを行った。会社更生手続き下であっても憲法で保障されている労働者の基本的な権利が侵害されてはならないことは当然であり、労働法学者からも「これほど単純明快な不当労働行為は珍しい」と言われるほど。
 都労委は、管財人代理等の発言は、争議権投票を控えた組合員に対し、投票を躊躇(ちゅうちょ)させるのに十分なものであり、組合の運営に影響を及ぼすものであるとして、11年8月3日に不当労働行為と認定、JALに組合への謝罪文交付を命令した。
 これに対してJALは、管財人を選任したのが東京地裁であることから、裁判所は味方との認識か、中労委への再審査の申し立てをせずに、いきなり東京地裁に舞台を移して、東京地裁に対して都労委の命令取消しを求めて提訴(原告=JAL、被告=都労委、組合は参加人として裁判に加わった)。
 この裁判で東京地裁は、JALの主張を退け、都労委の命令通り「不当労働行為」と認定した。このことは東京高裁が整理解雇事件控訴裁判で、管財人は絶対、無謬、善人論を展開していたことの誤りを明らかにしたものだ。
 この地裁判決を受けて、JAL解雇撤回国民共闘事務局は、@日航は控訴せず、不当労働行為を謝罪すること。そして、何よりも不当な整理解雇であったことを認め、解雇された165名全員を職場に戻すこと。A政府国交省は、今回の判決を踏まえ、また、ILOの2次にわたる勧告を真摯に受け止め、争議の早期解決に向けて日航を指導すること。B最高裁には、高裁の判決に明確な誤りがあることを踏まえ、口頭弁論を開き事実に基づく徹底審理をつくすこと、などの態度を明らかにした。


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